ガーナ

出典: Wikipedio


Template:基礎情報 国 ガーナ共和国(ガーナきょうわこく)、通称ガーナは、西アフリカに位置する共和制国家。東にトーゴ、北にブルキナファソ、西にコートジボワールと国境を接し、南は大西洋に面する。首都はアクラ

脱植民地化時代のサハラ以南アフリカにおいて、1957年に初めて現地人が中心となってヨーロッパ宗主国から独立を達成した国家である。イギリス領ゴールドコーストと呼ばれていたが、独立に際して国名をガーナに変更した。初代大統領ンクルマは、アフリカ統一運動を推進したことで有名。かつてゴールドコーストと呼ばれた海岸を保有しており、ダイヤモンドを産出する。カカオ豆の産地としても有名。2007年6月に油田が発見され、国際的に大きな注目を集めている。

目次

国名

正式名称は英語で、Republic of Ghana(リパブリク・オヴ・ガーナ)。通称、Ghanaガーナ)。

日本語の表記は、ガーナ共和国。中国語では、迦納または加納。

植民地時代はイギリス領ゴールド・コースト(黄金海岸)と呼ばれていたが、独立に際してかつて西アフリカに栄えたガーナ帝国から新国名を採用した。

歴史

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紀元前後

[[ファイル:ElminaCastle1668.jpg|thumb|right|200px|1688年のエルミナ城。この城砦から多くの奴隷が南北アメリカ大陸に連行されていった。]] thumb|right|200px|現在のエルミナ城 [[ファイル:Máscara de oro - tesoro del rey Kofi Kolkalli.jpg|200px|thumb|right|アシャンティ王コフィ・コルカリ(位:1867-1874)の黄金のマスク]] [[ファイル:1989 CPA 6101.jpg|200px|thumb|right|独立の父クワメ・ンクルマ汎アフリカ主義構想に基づいてアフリカ合衆国の建国を目指したが、1966年に失脚した]] この地域が注目されるのは、紀元前2000年紀のキンタンポ文化の出現からである。新石器時代後期に位置づけられるこの文化の人々は、森林-サヴァンナの境界地帯に住み、交易を行いつつも狩猟採集によって暮らしていた。2世紀頃からハニ遺跡で製鉄がおこなわれたことがわかっている。

13-16世紀

13世紀から16世紀はベゴーをはじめ幾つかの町がサハラ交易の一端を担ったともおもわれるが、ボノ・マンソに見られるように地域的なものにとどまった町もあったと思われる。また、西方からアカン人モシ人エウェ人ガン人が移住し、先住民と対立しその後圧迫していった。

15世紀にはポルトガル人が到来し、エルミナなどに城塞を築き、奴隷貿易の拠点とした。その後、金が産出することがわかると「黄金海岸」と呼ばれるようになった。

17-20世紀

その後、ドイツ人デンマーク人イギリス人オランダ人が来航し、奴隷の貿易を奴隷制が廃止される19世紀まで続けた。大西洋三角貿易により多くの人々がアメリカ大陸に連行され、1776年に独立したアメリカ合衆国においては、労働力として使われることとなった。

17世紀には奴隷貿易で力を蓄え、ヨーロッパ人から購入した銃火器で周辺の民族に対して優位に立ったアシャンティ人オセイ・トゥ・トゥアシャンティ王国を建設し、大いに繁栄した。

イギリス植民地

しかし19世紀に入り、アフリカの植民地化が進んだことや、南北アメリカのプランターにとって奴隷がコスト面で採算の取れない存在になったことにより奴隷貿易が衰退すると、アシャンティ王国の財政基盤は揺らいだ。アフリカの植民地化を目論んだイギリスは、1824年からの四次に渡るアングロ=アシャンティ戦争の末に、1902年にアシャンティ王国を滅ぼした。

こうしてこの地は「英領ゴールド・コースト」としてイギリス帝国に編入されたが、19世紀末から20世紀半ばにかけてに民族主義の気運が高まり、ナイジェリアシエラレオネなど「英領西アフリカ」の各地域が同調した。

宗主国のイギリスは第二次世界大戦連合国の1国として勝利したものの、その国力は衰退した。これを受けて1947年には独立を目的とした「黄金海岸会議」が設立され、クワメ・ンクルマ1949年には会議人民党を設立した。部族間の争いを越えて独立を標榜する会議人民党は人々の広範な支持を得て、1951年の選挙では圧倒的過半数を占める第一党となった。

独立

1956年にはンクルマの下に自治政府が成立し、翌1957年に隣の英領トーゴランドと合わせてガーナ共和国として独立を達成し、ブラック・アフリカ初の独立国となった。独立当初のガーナはイギリス国王立憲君主に頂く英連邦王国であったが、1960年に共和制へ移行し、ンクルマが初代大統領となった。

独立後はンクルマは汎アフリカ主義を掲げて、冷戦下において社会主義圏(東側諸国)やギニアとの友好関係を強化し、財政強化に努めたが、債務超過など失政を招き1966年にクーデターで失脚した。

政情混乱

政権を掌握した国家解放評議会はンクルマの政策から脱し、1969年には選挙を実施した。同選挙でコフィ・ブシアが首相に選ばれ民政に移管した。

しかし、反ンクルマ政策によるアカン人中心主義的な政策が国内の諸民族の反発を招き、1972年にはイグナティウス・アチャンポン将軍がクーデターを起こし、政権を握った。しかし、国情は安定せず、経済停滞から幾度か政変が発生した。

民政移管

1979年に軍事クーデターを起こしたジェリー・ローリングス空軍大尉が政権を掌握し、民政移管期間を挟んで1981年に完全な軍政を敷いた。

ローリングスはガーナ経済再建のためにIMF世界銀行構造調整計画を受け入れ、所得格差の拡大と共に、ガーナ経済と政治の安定化を達成した。ローリングスは複数政党制を認めた1992年の選挙で大統領に選出され、軍政から民政移管した。

現在

これを受けて、政治をボイコットしてきた野党も国政に参加を表明し、国情は安定を迎えた。ローリングスは2001年まで大統領を務めた後に、2001年からは選挙に勝利した新愛国党ジョン・アジェクム・クフォーが大統領に就任した。

政情が安定し、自由選挙により平和的に政権が移譲されることから、現在は西アフリカにおける数少ない議会制民主主義国として知られるようになった。2009年国民民主会議からジョン・アッタ・ミルズが大統領に就任した。

政治

Template:Main 260px|thumb|ガーナの最高裁判所

ガーナは国家体制として共和制大統領制をとる立憲国家である。現行憲法1992年4月28日に制定されたもの。

国家元首である大統領は、国民の直接選挙により選出される。任期は4年。3選は禁止。内閣に相当する閣僚評議会のメンバーは、大統領により任命されるが、国民議会の承認が必要。首相職はかつて存在したが、現行憲法下では存在しない。

立法府一院制の国会。定数は230議席で、議員は小選挙区制に基づき国民の直接選挙によって選出される。議員の任期は4年である。

ガーナは1992年に現行憲法が施行されて以降、複数政党制が認められており、実質的には二大政党制が機能している。1つは自由民主主義を掲げる中道右派新愛国党 (NPP)、もう1つは社会民主主義を掲げる中道左派国民民主会議 (NDC) である。その他の勢力は二大政党ほどの影響力は持っていないが、比較的有力なものに人民国家会議 (PNC) がある。かつてクワメ・ンクルマ初代大統領のもとで権勢を振るった会議人民党 (CPP) は現在も存続しているが、勢力は弱体化している。

2008年12月28日の大統領選挙(決選投票)において、野党国民民主会議 (NDC)のジョン・A・ミルズが勝利し大統領となった。与党新愛国党 (NPP)はその数日後に選挙での敗北を認め、政権の移譲はスムーズに行われた。

現在でも政治家の暗殺やクーデター、選挙をきっかけとした虐殺行為などが頻発する西アフリカにおいて、スムーズに野党へ政権の移譲が行われることは非常に珍しく、ガーナがこの地域では際立って安定していることを表しているといえる。

司法府の最高機関は最高裁判所で、その下に高等裁判所、巡回裁判所、地方裁判所が置かれている。

国際関係

西アフリカ諸国経済共同体の主導的な立場にある国の一つである。アフリカの周辺諸国のみならず、旧宗主国のイギリスをはじめとした欧米諸国とも友好関係を保っている。

日本との関係では、野口英世がイギリスの植民地下のガーナで黄熱病の研究中に死去しているなど、古くから関係があり、英世の故郷である福島県福島県立医科大学が医師を派遣するなど関係も深い。日本の援助で、1979年にガーナ大学に研究所が設立された。また2006年には、千葉県浦安市等から自転車等の無償援助を受けている。

地方行政区分

Template:Main 260px|thumb|ガーナの州

ガーナは10の州 (region) から構成されている<ref>州の読みはhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/gai/ghana/pdfs/sect03_01_0707.pdf を参照した。</ref>。

地理

Template:Main 260px|thumb|ガーナの地図 ギニア湾に面しており、ヴォルタ川流域の低地が国土の大半を占めるため、最高標高は885mに過ぎない。ヴォルタ川水系の面積は国土面積の67%を占める。特に1965年にヴォルタ川をせき止めて作ったアコソンボダムが有名。

ケッペンの気候区分によれば、南部では熱帯気候(Aw)を示し、平均気温は25℃以上ある。一方北部は亜熱帯高圧帯に近づくため、乾季と雨季が明瞭になりステップ気候(BS)となる。

経済

Template:Main [[ファイル:Downtown accra.jpg|thumb|left|180px|首都アクラのダウンタウン]]


経済は農業・鉱業等などの一次産業に依存し、特にカカオは世界有数の産出量を誇る。独立直後から債務超過に悩んでいたが、1983年以降、構造調整を実施して経済の再建に取り組んだ結果、1980年代後半から平均5%のGDP成長率を達成しアフリカにおける構造調整の優等生として評価されてきた。

しかし近年はカカオの国際価格の低迷、主要輸入品である原油価格の高騰などにより経済は低迷。2001年3月、拡大HIPC(重債務貧困国)イニシアティブ適用による債務救済申請を行う政策転換を行い、経済再建へ向けた努力を行っている。その結果、マクロ経済状況は改善、安定してきている。

前述のアコソンボダムによる水力発電で電力の輸出を行う。総発電量のうち水力の割合は6割強を占める。オイルショック以降の原油高の後には、この電力によるアルミニウム精錬も行い、アルミニウムの輸出は総輸出額の7%を占める。

2007年6月に沖合で油田が発見され、大きな注目を集めている。近年ではサブサハラ最大級といわれる大規模なもので、2010年に日量12万バレルの生産開始を目指し開発中。今後経済成長に寄与することが期待されているが、石油が招きがちな貧富の格差や政情不安を回避して安定した発展を続けていけるかが注目される。

近年、金やダイヤモンドなどの詐欺事件が多発し、対策として高価値鉱物マーケティング公社(PMMC)という公的機関も設立されているが、公的機関の書類自体も偽造されている場合があるので注意が必要である<ref>[1]</ref>。

交通

[[ファイル:Railway Station Kumasi 2005.jpg|thumb|180px|クマシの鉄道駅]] コトカ国際空港は同国におけるハブ空港であり、アフリカの近辺国や欧米との航空路線も多く運航されている。国内の交通機関としては、航空の他鉄道による移動も多く、テマやタコラディ、クマシなどへの鉄道路線がアクラから延びている。

国民

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民族

2000年のセンサスによれば、アカン人が45.3%、モシ・ダゴンバ人が15.2%、エウェ人が11.7%、ガー人が4%、グルマ人が3.6%、グルシ人が2.6%、マンデ=ブサンガ人が1%、その他の民族が1.4%、ヨーロッパ人アラブ人などその他が7.8%となっている<ref name=2009cia/>。

言語

公用語英語であり、その他にアカン語モシ・ダゴンバ語エウェ語ガー語などが使われる。

宗教

2000年のセンサスによれば、国民の68.8%がキリスト教であり、24.1%がペンテコステ派、18.6%がプロテスタント、15.1%がカトリック、その他のキリスト教が11.5%である。イスラーム教は国民の15.9%を擁し、伝統宗教が8.5%、その他の宗教が0.7%、無宗教が6.1%となる<ref name=2009cia/>。

教育

Template:Main 2年間の就学前教育と6年間の初等教育義務教育であり、初等教育の後に3年間の前期中等教育と4年間の後期中等教育を経て高等教育への道が開ける。初等教育から学校教育における教授言語は英語であり、ガーナの公立学校では小学校一年生から英語で授業が行われる。2000年のセンサスによれば、15歳以上の国民の識字率は57.9%(男性:66.4% 女性:49.8%)である<ref name=2009cia>CIA World Factbook2009年11月26日閲覧。</ref>。2005年にはGDPの5.4%が教育費に支出された<ref name=2009cia/>。

主な高等教育機関としてはガーナ大学(1948)、クマシ大学ケープ・コースト大学などの名が挙げられる。

文化

音楽

thumb|220px|ガーナの鼓手。 1920年代にリベリアシエラ・レオネで生まれたパームワイン・ミュージックを発展する形でハイライフが生まれた。ハイライフは最初期に成立したアフリカのポピュラー音楽であり、近隣のナイジェリアシエラ・レオネなど英語圏に拡大した他、ベルギー領コンゴにも波及してフランコパパ・ウェンバらに影響を与え、キューバ音楽と共にリンガラ・ポップス(ルンバ・ロック)成立に大きな影響を与えた。

1990年代にはハイライフ、アフロ=レゲエ、ダンスホール、ヒップ・ホップなどの影響を受けた若者によって新たなジャンルが創造された。この新たなハイブリッド音楽はヒップライフと呼ばれている。R&B/ソウルの歌手ライアン・ベンソンやハイライフ歌手のコージョ・アントウィ、ラッパーのティンチー・ストライダーなどのガーナのミュージシャンは国際的な成功を収めている。

世界遺産

ガーナ国内には、ユネスコ世界遺産リストに登録された文化遺産が2件存在する。詳細は、ガーナの世界遺産を参照。

スポーツ

Template:Main [[ファイル:Stadium tamale2.jpg|thumb|220px|タマレ・スタジアム。]]

サッカー

ガーナ代表アフリカネイションズカップに1963年、1965年、1978年、1982年と4度に渡って優勝しているが、ワールドカップ予選ではことごとく敗退してきた。しかし、2006 FIFAワールドカップ予選では見事勝ち抜き、本大会への出場が決まった。本大会では強豪チェコを破るなどの活躍を見せ、決勝トーナメントへ進んだが、決勝トーナメント1回戦でブラジルに3-0で敗れた。

ガーナ・サッカー協会(Ghana Football Association)は、CAF(アフリカサッカー連盟)の主催するアフリカネイションズカップを、1963年、1978年、2008年に単独開催し、2000年にはナイジェリアと共同開催した。2008年に開催されたアフリカネイションズカップでは、ガーナ代表は3位であった。

その他情報

日本の主な輸入品

  • カカオアルミニウム - 大手菓子メーカーロッテの商品「ガーナチョコレート」により、日本においてはガーナがカカオ豆の産出地であることが知られている。

脚注

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参考文献

  • 岡倉登志:編『ハンドブック現代アフリカ』明石書店、2002/12
    • 砂野幸稔「アフリカ文化のダイナミズム」『ハンドブック現代アフリカ』岡倉登志:編、明石書店、2002/12

関連項目

外部リンク

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Template:アフリカ Template:国連安全保障理事会理事国 Template:イギリス連邦

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