カルト

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プライバシー・ポリシー Wikipedioについて 免責事項 Template:POV カルト(Cult)は、「崇拝」、「礼拝」を意味するラテン語 Cultus <ref>カルト・セクト問題カルト問題研究プロジェクト)</ref>から派生した言葉で、元来、「儀礼祭祀」などの宗教的活動を意味していた。現在では反社会的な宗教団体を指す言葉として使用されることが多い<ref name="nihonno10dai">島田裕巳 『日本の10大新宗教』(幻冬舎 2007年11月30日) ISBN 978-4344980600 </ref>。

目次

概要

1990年代アメリカにおいて、反社会的な宗教団体を指す言葉として使われるようになった(この場合、一般の宗教と区別する意味で「破壊的カルト」とも呼ぶ(<ref name="q&asyukyotorouble">山口広・滝本太郎・紀藤正樹 『Q&A 宗教トラブル110番』(民事法研究会 2004年2月13日) ISBN 978-4896281866 </ref>、p131))。フランス語においては「カルト(Culte)」は宗教の宗旨別を意味し、ヨーロッパにおいては一般的な宗教から派生したカルト団体を「セクト」と呼ぶ<ref name="cultka">竹内節子 『カルトか宗教か』(文藝春秋 1999年11月20日) ISBN 978-4166600731</ref><ref>中国語では邪教(じゃきょう)と書かれる。</ref>。

派生的な用法は#派生的な意味でのカルトの節を参照

定義・特徴

社会学上におけるカルトの定義

19世紀から20世紀の変わり目の頃、ドイツマックス・ヴェーバーエルンスト・トレルチなどの社会学者、神学者による説では、キリスト教団体を「教会」(各国の主要な教団)と「セクト」に分ける類型法があった。セクトは既存の教会を批判し、宗教的により正しい生き方を目指して分派した小規模団体であると定義した。このような教会とセクトの分類は、キリスト教世界内の団体間の緊張関係に着目している。

なお、1950年にアメリカの社会学者のハワード・S・ベッカー(Howard Saul Becker) は、非キリスト教的なスタイルを持つ新興団体を新たな類型として含め、これを「カルト」と定義した。ベッカーの言うカルトは、心霊術占星術などの信者集団で、小規模かつ緩やかな組織構成という特徴を持つものである。

フランス国民議会「アラン・ジュスト報告書」によるセクト(カルト)の定義

'セクト政府の文書によってカルトと分類された団体一覧#フランスの項目、および、#ヨーロッパの節も参照

ヨーロッパにおいては「カルト」という言葉は用いられず、社会的に警戒を要する団体を、「セクト」と呼ぶ<ref name="ronsou" />。

1995年12月、フランスの下院(フランス国民議会)で採択された報告書『フランスにおけるセクト』は「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針の一つとされている。この報告書は、調査委員会の委員長の名前を取って『アラン・ジュスト報告書』ともよばれている。

この中で、セクトの本質を「新しい形の全体主義」と定義した上で、以下のように「セクト構成要件の10項目」を列挙している。

  1. 精神の不安定化
  2. 法外な金銭的要求
  3. 住み慣れた生活環境からの断絶
  4. 肉体的保全の損傷
  5. 子供の囲い込み
  6. 反社会的な言説
  7. 公秩序の攪乱
  8. 裁判沙汰の多さ
  9. 従来の経済回路からの逸脱
  10. 公権力への浸透の試み

以上の項目のいずれかにあてはまる団体をセクトとみなしている<ref>古川利明 『カルトとしての創価学会池田大作』(第三書館 2000年11月) ISBN 978-4807400171 </ref>

特徴

  • 教祖が女性信者と性関係を持ったり、信者の結婚相手を指名することがある。また、性的儀式が信者勧誘の際の売り物となっている団体もある<ref name="q&asyukyotorouble" />。
  • フランスのセクト対策で重要視されたのは、セクトが西欧的人権の侵害をし犯罪誘因性の温床となっていないかである。
  • その団体が西欧と異質な価値観を持つ異文化にすぎないのか、逆に適度な国家の介入が必要なカルトであるかの線引きが特に重要視された。
  • 2004年頃には、フランスはセクトに対する有効なネットワークを有することとなり、その対策も本格化した。
  • 具体的な対策内容は、各省庁における専門部署の設置、警察の捜査、司法における判例の蓄積、人権侵害や犯罪がなされてないのかの追跡調査、民間団体からの情報収集等である。

世界のカルト問題

米国

1978年米国から南米のガイアナに移動した人民寺院信者の900人に及ぶ集団自殺は、米国で社会問題化し、社会的に危険とみなされる宗教団体を指して「カルト」と呼ぶようになる。これを機に 1979年連邦議会を初め、各州が公聴会を開催した<ref name="ronsou">第二東京弁護士会 消費者問題対策委員会(編)『論争 宗教法人法改正』(緑風出版 1995年9月30日) ISBN 978-4846195977</ref>。

市民の間でも反カルト運動が高まり、同年 "AFF"(America family Foundation「アメリカ家族財団」)(現:"ICSA" international Cultic Studies Association 「国際カルト研究会」)が設立され、カルト問題を社会に訴えると共にカウンセリングを確立・普及させた。

臨床心理学社会心理学、社会学、神学者達が、新たなカルトの理論的な定義付けを試みている。カルトを社会的問題とする陣営の統一見解としては1985年にまとめられた "Cultism:A conference for scholars and policy makers" という文書がある。

米国での統一教会の元信者2名が教団の宗教であることを隠した詐欺的勧誘によって、精神的苦痛を受けたことなどを理由として統一教会に損害賠償を求めた裁判で1988年カリフォルニア州最高裁判所は原告の訴えを却下した1、2審判決を破棄し、「(“聖なる詐欺”と称して「聖なる目的のためには人をだましてもよい」とする教団の)詐欺的勧誘が宗教的信念に基くものであっても、社会の保護のための規制に服する」として裁判のやり直しを命じた(結果的には和解となった)。宗教的教義に基く行為が公共の秩序や法規範と対立する場合、どちらを優先させるかは時代と共に変遷しているが、この判例のように公共の秩序や法規範を優先させた判例も1800年代からこれまでいくつか出ている<ref name="ronsou" />。

ヨーロッパ

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1984年5月22日、欧州評議会(EC議会)において宗教団体による法の侵害に対する共同の対応についての決議が採択された。ECの各組織が情報交換することを促し、各組織の調査・評価のための13の基準を定めた<ref name="troubletaisaku">山口広中村周而平田広志紀藤正樹 『カルト宗教のトラブル対策』(教育史料出版会 2000年5月20日) ISBN 978-4876523818 </ref>。

特にフランスではセクト対策が盛んであり、各国で話題となった。フランスでは1995年にカルト対策の引き金となる議会報告書「フランスにおけるセクト」(「フランスのセクト」、「フランスにおけるセクト教団」、「1995年度報告書」とも)が提出された。この報告書はフランス国内で活動中のセクト的傾向の見られる団体の紹介と、それによって引き起こされる社会問題への対処を提案したものだった。フランスではこの報告書等に基づきセクト対策室が設置され、継続的なセクト対策が行われることとなる。セクト対策の課程で提案され実行に移されたのは、脱税対策、人権侵害調査、子供への洗脳的教育が行われてないかの監視、人権の侵害を行う団体への対処、異文化とカルトの線引きをどうするか、異文化の受け入れ、裁判実績の積み重ね、各県(海外県を含む)における専門部署の設置などである。

特にフランス政府のセクト対策で問題となったのは西欧的人権だけが人類の価値観でない以上カルトと多文化の線引きをどうするかと、旧来のライシテとの調和であった。この問題は根幹的なものであり、政府のみならずフランス国内でも話題となり膨大な議論が行われた。またフランスのセクト対策は、宗教に対し踏み込んだものであったため、ヨーロッパ各国から注目された。

2002年からはセクトによる反社会的な行動に対する予防、抑止、対処のために「MIVILUDES」(「セクト的逸脱対策関係省庁本部」、朝日新聞の記事や一般の翻訳では「省庁間セクト対策室」)という首相所轄の機関を中心に大々的にセクト対策を行って来た。

フランス政府はセクトと宗教の線引きという極めて難しい問題に挑戦した。何が宗教で何がセクトか、社会現象や団体の行動も異文化と見るべきか、それとも問題とすべき事体なのかなど極めて難しい問題である。フランスはこの種の宗教問題を避けるために犯罪や洗脳、社会問題を引き起こしている団体に対処するというスタンスで、問題点の多い団体を洗い出した。選択されたのは人権や法は宗教に優先するという価値基準である。その結果として宗教で無い団体などもセクトに含まれている。セクト対策も単なる分類やリストアップではなく行政レベルでの具体的な政策であった、その内容は「実際の問題行動に対する情報収集や行政指導、各地域への専門部署の設置」、「洗脳などを含めて教育方法に問題のあると見られる団体の子供へのモニタリング」、各種法整備や制度の整備、不法医療行為の取り締まり、「被害者救済のための判例の積み重ね」などの具体的な活動である。

ヨーロッパ全体でもカルト問題は難しく微妙な問題を含んでおり、信教の自由との兼ね合いをとることが重視されている。宗教問題に関しヨーロッパでは国内での裁判に不服がある場合欧州人権裁判所に持ち込むことが出来る。そこでの判決は国内の裁判所より上位にあるとされ、判決は欧州各国内で参考とされるべき判例となる。1990年代のフランス司法は人権裁判所の判断に添った形での判決を出す方向へシフトした。特に成人の信教の自由を保護することを重視し、国家や司法が宗教に介入するにはそれ相応の根拠がある場合に限るとされている。介入の根拠とできるのは、社会治安上の問題や犯罪、育児に関する責任や教育上の問題などである。

ヨーロッパのカルト対策の共通点は、「セクト」の明らかな問題行動や犯罪が、信教の自由の名の元に見過ごされている点を改善することである<ref name="troubletaisaku" />。ヨーロッパでは「セクト」を宗教として見るのではなく、実際にどのような活動をし、どのような問題がおきているのかが重視されている。国の関係機関や警察司法、民間団体が広範に連携して情報収集をし、個々の団体の問題行動に対処するという方針を取っている。国家機関やNGOの活動は国家の枠を超えた広範な活動を呈している。実際に、労働法脱税、完全な営利目的の団体や詐欺、子供への教育等の観点からの対策が提起され実行に移された。またヨーロッパにおいては信者の社会復帰や、教育から隔離された「セクト」の子供たちの教育問題に力が注がれている。対して日本ではカルト団体の信者が、教団を離れても支援がないために社会復帰できず教団に戻ったり、子供が教団内で軟禁状態になり、教育から隔離させられているのに放置されている等の問題がある<ref name="troubletaisaku" />。


日本のネットでは、この問題は宗教と反宗教の論敵に対する攻撃用の材料として取り扱われ、95年以降長年にわたり極めて適当に議論された。 反宗教的な傾向の強い集団がフランス政府のセクト対策を実態以上に素晴らしいものとして宣伝。 フランスでセクトとみなされた団体のリストが日本にも伝播した。 このリストは宗教団体をたたくための材料とされた。 フランスで問題視されたことを根拠にセクトとみなされた団体を実態以上に危険なカルト教団として宣伝する道具とした。 逆にセクトとみなされた団体のほうでは、フランスのセクト対策は史上まれにみる最低のものだったという宣伝が展開された。 双方実際のフランス政府の活動を無視、論敵を攻撃するのに都合がいい捏造資料を中心に議論が展開された点に特徴がある。 もちろんネットでも真面目な議論も存在したし、学術的な議論は全く別物であったが、長年少数派であった。 声の大きいほうが目立ち、人数が多いものが目立っていたのである。


-備考 セクト対策については法律も整備されておりwebサイト「LegiFrance」で調べることができる。 LegiFranceについてはネットで検索のこと。 国の資料やフランス法の専門家、フランス法を専攻している学生のサイトでLegiFranceについて調べることができる。



出典 新聞記事一覧<ref>出典一覧その1 (普通に新聞社の公式サイトで検索すると新聞記事を検索できないため、新聞記事データベースG-Seaechを使用した)

  • 「新世界事情 地球規模で広がるカルト」中日新聞社 1997年6月5日,夕刊第3頁
  • 「カルト対策 日本も急げ 岡山で欧州調査報告(岡山県)」中国新聞社 1997年5月1日,中国朝刊第不明頁
  • 「破壊的カルト、官民で対策 山口広弁護士の欧州調査報告(こころ)」朝日新聞社 1997年3月25日,東京夕刊第11頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/3止 対策に「立法」はとらず」毎日新聞社 1997年3月23日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/2 き然と全団体名を公表」毎日新聞社 1997年3月22日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/2 米との差は「宗教を問う」かだ」毎日新聞社 1997年3月21日,東京朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/1 集金活動に詐欺罪の判決」毎日新聞社 1997年3月20日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/1 詐欺罪適用「リヨン判決」の衝撃」毎日新聞社 1997年3月20日,東京朝刊第3頁
  • 「「カルトは国土なき国家」」朝日新聞 2001年10月22日,東京夕刊第8頁
  • 「なんだっけ/カルト」しんぶん赤旗 2003年5月10日,日刊紙第6頁
  • 「国際協力(宗教と人権 ヨーロッパの模索:9)」朝日新聞社 1999年4月20日,東京夕刊第7頁
  • 「規制立法(宗教と人権 ヨーロッパの模索:6)」朝日新聞社 1999年3月16日,東京夕刊第7頁
  • 「対決姿勢(宗教と人権 ヨーロッパの模索:5)」朝日新聞社 1999年3月9日,東京夕刊第11頁
  • 「心理操作(宗教と人権 ヨーロッパの模索:4)」朝日新聞社 1999年3月2日,東京夕刊第7頁
  • 「引き離す(宗教と人権 ヨーロッパの模索:3)」朝日新聞社 1999年2月23日,東京夕刊第7頁

出展一覧その2 Miviludes、Mils、宗教セクト委員会のだした資料一覧。 省略 フランスのセクト対策について報じた日本の新聞記事一覧。

* 「日本の状況に関心(カルト対策はいま シアトル国際会議から:上)」朝日新聞社 2000年5月24日,東京朝刊第33頁
  • 「国際シンポ(宗教と人権 ヨーロッパの模索:11)」朝日新聞社 1999年5月11日,東京夕刊第7頁
  • 「宗教放送(宗教と人権 ヨーロッパの模索:14)」朝日新聞社 1999年6月1日,東京夕刊第9頁
  • 「戦う神父(宗教と人権 ヨーロッパの模索:12)」朝日新聞社 1999年5月18日,東京夕刊第9頁
  • 記事
  • 「「カルトは国土なき国家」」朝日新聞 2001年10月22日,東京夕刊第8頁
  • 「神かたり、人格破壊 国際手配、海外から教義 カルト「摂理」」朝日新聞 2006年7月28日,大阪朝刊第31頁
  • 「【談話室】カルト指定、事実でない」産経新聞 2003年11月17日,東京朝刊第15頁
  • 「なんだっけ/カルト」しんぶん赤旗 2003年5月10日,日刊紙第6頁
  • 「カルト教団、本気で規制 仏国民議会、裁判所に解散命令権付与」朝日新聞社 2001年6月1日,東京朝刊第7頁
  • 「評論・オウム真理教 自己愛触媒にカルト化 判定機関や刑法整備も 熊日論説委員・春木進 松本被告死刑判決」熊本新聞 2004年2月28日,朝刊第5頁
  • 「[宗教を考える]カルト問題 活動、活発化する気配 既成教団の奮起期待」読売新聞社 2002年7月17日,東京朝刊第25頁
  • 「〈解〉カルト」読売新聞社 2002年7月17日,東京朝刊第25頁
  • 「日米欧のカルト対策(ひろば)」朝日新聞社 2000年7月10日,東京夕刊第6頁
  • 「カウンセラーが洗脳?医療現場にカルト フランス(世界のくらし)」朝日新聞 2002年2月23日,東京朝刊第8頁
  • 「仏でカルト防止法成立/人権侵害取締まり/創価学会、統一協会も対象」しんぶん赤旗 2001年6月2日,日刊紙第1頁
  • 「「カルト」に厳しいフランス/国会の報告書でも創価学会批判」しんぶん赤旗 2001年6月2日,日刊紙第6頁
  • 「宗教に名を借りたカルト/仏下院で禁止法案可決 第一読会全会一致」しんぶん赤旗 2000年6月23日,日刊紙第1頁
  • 「フランス国営テレビ/創価学会をルポ/えせ仏教組織の活動と政教一体の危険性を告発」しんぶん赤旗 2000年6月23日,日刊紙第4頁
  • 「宗教に名を借りた反社会的な集団/創価学会は政府の監視対象/フランスの反セクト活動家が語る」しんぶん赤旗 2000年6月19日,日刊紙第7頁
  • 「日本の状況に関心(カルト対策はいま シアトル国際会議から:上)」朝日新聞社 2000年5月24日,東京朝刊第33頁
  • 「「カルト」に厳しいフランス/国会の報告書でも創価学会批判」しんぶん赤旗 2001年6月2日,日刊紙第6頁
  • 「〈解〉カルト」読売新聞社 2000年3月21日,東京朝刊第13頁
  • 「欧米のカルト対策 欧州、議会が積極対応 米は市民団体が中心/日弁連調査」読売新聞社 1999年11月30日,東京朝刊第31頁
  • 「オウム新法*期待と懸念」北海道新聞 1999年11月3日,朝刊全道第30頁
  • 「宗教放送(宗教と人権 ヨーロッパの模索:14)」朝日新聞社 1999年6月1日,東京夕刊第9頁
  • 「戦う神父(宗教と人権 ヨーロッパの模索:12)」朝日新聞社 1999年5月18日,東京夕刊第5頁
  • 「国際シンポ(宗教と人権 ヨーロッパの模索:11)」朝日新聞社 1999年5月11日,東京夕刊第7頁
  • 「補助金(宗教と人権 ヨーロッパの模索:10)」朝日新聞社 1999年4月27日,東京夕刊第7頁
  • 「国際協力(宗教と人権 ヨーロッパの模索:9)」朝日新聞社 1999年4月20日,東京夕刊第7頁
  • 「規制立法(宗教と人権 ヨーロッパの模索:6)」朝日新聞社 1999年3月16日,東京夕刊第7頁
  • 「対決姿勢(宗教と人権 ヨーロッパの模索:5)」朝日新聞社 1999年3月9日,東京夕刊第11頁
  • 「心理操作(宗教と人権 ヨーロッパの模索:4)」朝日新聞社 1999年3月2日,東京夕刊第7頁
  • 「引き離す(宗教と人権 ヨーロッパの模索:3)」朝日新聞社 1999年2月23日,東京夕刊第7頁
  • 「閉鎖性 そびえ立つ巨像(宗教と人権 ヨーロッパの模索:2)」朝日新聞社 1999年2月16日,東京夕刊第7頁
  • 「「偽りの看板に注意を」(宗教と人権 ヨーロッパの模索:0)」朝日新聞社 1999年2月9日,東京夕刊第9頁
  • 「連携作戦 政府自身が冊子つくる(宗教と教育 独仏露の場合:56)」朝日新聞社 1998年2月17日,東京夕刊第10頁
  • 「マダム・セクト 民間組織と協力(宗教と教育 独仏露の場合:55)」朝日新聞社 1998年2月10日,東京夕刊第11頁
  • 「安全教育 研修や映像で予備知識(宗教と教育 独仏露の場合:54)」朝日新聞社 1998年1月27日,東京夕刊第7頁
  • 「サイエントロジー教会は「宗教」、高裁判断に戸惑う世論--フランスの信者自殺事件」毎日新聞社 1997年8月28日,東京夕刊第5頁
  • 「仏高裁、布教認める 信者自殺めぐる詐欺罪で裁判の米新興宗教」朝日新聞社 1997年7月30日,東京夕刊第2頁
  • 「新世界事情 地球規模で広がるカルト(4/4) 独 「規制」で外交問題にも」中日新聞社 1997年6月6日,朝刊第7頁
  • 「新世界事情 地球規模で広がるカルト」中日新聞社 1997年6月5日,夕刊第3頁
  • 「カルト対策 日本も急げ 岡山で欧州調査報告(岡山県)」中国新聞社 1997年5月1日,中国朝刊第不明頁
  • 「破壊的カルト、官民で対策 山口広弁護士の欧州調査報告(こころ)」朝日新聞社 1997年3月25日,東京夕刊第11頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/3止 対策に「立法」はとらず」毎日新聞社 1997年3月23日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/2 き然と全団体名を公表」毎日新聞社 1997年3月22日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/2 米との差は「宗教を問う」かだ」毎日新聞社 1997年3月21日,東京朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/1 集金活動に詐欺罪の判決」毎日新聞社 1997年3月20日,大阪朝刊第3頁
  • 「[セクト宗教事情]ヨーロッパ報告/1 詐欺罪適用「リヨン判決」の衝撃」毎日新聞社 1997年3月20日,東京朝刊第3頁
  • 「オウム」「人質」…日仏の違い 国家観映す危機管理 /パリ支局長 山口昌子」産経新聞社 1997年2月5日,東京夕刊第5頁
  • 「「反社会」教団の対策強化 仏国会委が報告書 常設監視機関など提言」読売新聞社 1996年1月11日,東京朝刊第4頁
  • 「【宗教・こころ】宗教法人法見直しを考える(4)欧米は厳しい基準や対応」 1995年5月11日,東京夕刊第9</ref>。

アジア

中国の法輪功。団体は自分達を気功“学習者”であると主張するが、中国当局はカルトであると断定している。大韓民国(韓国)では後述の世界基督教統一神霊協会(現・世界平和統一家庭連合)が大きな勢力を保持している。

日本

1992年の「統一教会(世界基督教統一神霊協会)」の合同結婚式に参加した山崎浩子が、翌1993年の脱会記者会見の際に、「マインド・コントロール」されていました」と発言したことと、同年、同じ統一教会の元信者で社会心理学スティーヴン・ハッサンが書いた『マインド・コントロールの恐怖』という著作がベストセラーになったことでマインド・コントロールという言葉が社会に知られるようになった。同時に、そのようなマインド・コントロールを行なうような宗教団体に対し、「カルト」という言葉が使われるようになった<ref name="kensyou">魚谷俊輔 『統一教会の検証』(光言社 1999年9月1日)ISBN 978-4876560813</ref>。 この「カルト」という呼称には20世紀前後の社会学としての定義にはなかった「反社会的な集団」、「危険な集団」、「わけのわからない不気味な集団」といった「否定的なニュアンス」が含まれるようになった。マインドコントロール論支持者はカルトの定義を企業、政治団体などに拡大していったが、さほど浸透はせず、日本では一般に新興宗教団体を指す場合が多い。

特に一連のオウム真理教事件は、思想・信教の自由に対する配慮から行政が及び腰になりオウム真理教への捜査が遅れ、テロを防げずに被害を拡大してしまったという社会的非難が大きくなったこともあり、それまで「宗教の自由」「信教の自由」という名の下に見過ごされてきた宗教団体による人権侵害等を見つめ直す土壌が作られた。

オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こった後、1995年の11月に精神科医東邦大学助教授の高橋紳吾が日本にもアメリカのCAN(カルト警戒網)のような組織が必要だとして「日本脱カルト協会」を設立した<ref name="kensyou" />。

マスメディアなどで問題のある宗教団体に対し、“カルト”という言葉を用いるようになって来ると、”カルト”と呼ばれた団体が相手を名誉毀損で訴える訴訟が起こされた。「ワールドメイト」が雑誌を訴えた裁判では、1997年2月4日の東京地裁がカルトと評することについて「抽象的ながらも否定的評価を示す場合があるとしても、不当ないし、不合理までとは言えず、表現の自由の範囲内のものとして許容される』旨の判断を下し、請求を棄却した。また、「ライフスペース」がフジテレビ及び、その番組のコメンテーターウェブサイトの主催者らを訴えた事例では、2000年3月24日の東京地裁が「カルトという言葉は文脈によっては社会的評価を低下させる場合もあるものの、(本来は熱狂者の集団を意味するものであるから)直ちに他人の評価を低下させるものではるとまではいえない」旨の判断を下し、こちらも請求を棄却した(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p129-p130)<ref name="troubletaisaku" />。

1999年3月、日弁連消費者問題対策委員会は、宗教的活動にかかわる人権侵害についての判断基準(1.献金等勧誘活動、2.信者の勧誘、3.信者及び職員の処遇、4.未成年者、子供への処遇)を示した「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」と題する意見書を発表したが、「日本宗教連盟」を初めとする宗教界からは強い反発が起こった<ref name="troubletaisaku" />。

このような事件が相次いだこともあり、社会的な問題を起す団体を「カルト」と呼ぶことが定着してきた。2000年9月、岡山高裁においては宗教団体(統一教会)による勧誘・教化行為の違法性を認めた全国初の判決(判例時報1755号 P93)最高裁平成13年2月9日決定)が出たように、社会が宗教を見る目は厳しくなって来ている<ref name="nihonno10dai" />。

日本で一般に説明される「カルト」とは少数であっても熱烈な信者が存在するような宗教的団体を指す。カルト教団カルト宗教ともいう。教祖が絶対的な権威を持つカリスマであり、その教義に排他的な所や反社会的な内容があることが多い。また、教え自体が、教祖の宗教的な信念に基づく思想ではなく、経済的搾取等の自己の欲望のために信者を利用するための表向きの看板に過ぎないことも多い<ref name="cultka" />。

日本の各教団のその誘訪方法はほぼ同じで、まず美辞麗句で誘い、詳細を知らせず入信させ、実践させていくことで精神を変えてしまう、というもの。そして「辞めたら不幸になる」と脅される。

なお、カルト問題に長年関わってきた旧約聖書学者の浅見定雄東北学院大学名誉教授)は、カルト問題は「宗教問題」ではなく「社会問題」だとしている。

カルト団体と社会問題

1950年代

当時、「カルト」という言葉は存在しなかったが、創価学会立正佼成会の活動に様々な行過ぎや人権侵害等の公共の福祉に反するものがあるという訴えが多くなされ、国会でも取り上げられる問題となり、衆議院法務委員会の調査結果に基き、1956年3月6日、不当な宗教活動に対して警告を発する「不正なる宗教活動に対する決議」が満場一致でなされた<ref name="syu19560603">第24回国会 衆議院 法務委員会 第42号 昭和31年(1956年)6月3日(議事録)</ref>。

1960年代

1969年

8月8日、アメリカでチャールズ・マンソン(Charles Milles Manson)が自身の信奉者である「マンソン・ファミリー」に殺害を指示。女優シャロン・テート(妊娠8ヶ月)の自宅に押し入り、彼女とその友人3人と、目撃された少年を殺害。翌日の夜も実業家夫婦を自宅で殺害。1971年2月、マンソンは死刑判決を受けるが、カリフォルニア州が死刑制度を廃止したため終身刑となる(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p123)。

1970年代

1978年

南アメリカガイアナで、視察のために訪れた米国会議員ら一行を「人民寺院」の信者が射殺した後、教祖ジム・ジョーンズの指示によって信者たちが集団自殺。その9割に当たる914(912人)が死亡。うち267人は18歳以下の子供であり<ref name="ronsou" />、巻き添えで他殺された無理心中のケースも多く占めるとも言われる(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p124)。

1980年代

1986年

1月1日、「真理の友教会」(真理は「みち」と読む)の男性教祖が亡くなったことを苦にして25歳から37歳までの独身女性信者らが和歌山県の海水浴場で灯油をかぶり焼身自殺(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p119)。

  • 「統一教会」(世界基督教統一神霊協会)の信者らが行なった霊感商法悪質商法として社会問題となる。

1987年

8月、韓国で「五大洋」の教祖、朴順子(パク・スンジャ)とその信者32(31)名が服毒自殺 <ref name="ronsou" />(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p125)。五大洋集団死事件参照。

1990年代

1991年

幸福の科学」による講談社フライデー事件訴訟だけではなく、講談社への執拗な抗議を起こした。

1992年

韓国のキリスト教団体「タミ宣教会」の牧師、李長林(GiBupC <a href="http://gpsnqwvzbsbg.com/">gpsnqwvzbsbg</a>, [url=http://dbtauaohikgv.com/]dbtauaohikgv[/url], [link=http://fasownhcrtod.com/]fasownhcrtod[/link], http://npemhjdofvfv.com/)が「1992年10月28日にこの世は終わる」と主張し、終末の日までに全財産を捧げるように信者に要請。5千人以上の信者が教団に財産を捧げ、家出する者も出て社会問題となった。結局、何も起こらなかったことで信者らに訴えられる。集めたお金を自分の定期預金にしていた教団幹部は詐欺罪で逮捕され、有罪とされ服役した(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p61-p62)。

1993年

デビッド・コレシュを教祖とする「ブランチ・ダビディアン」が、アメリカ、テキサス州の自己拠点で武装し篭城。FBIと銃撃戦。その後の集団自殺で86名が死亡(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p125)。

1994年

10月5日、「太陽寺院」の教祖、ジョセフ・デ・マンプロを含む信者53人がスイスカナダで集団無理心中(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p125)。

1995年

「オウム真理教」による「地下鉄サリン事件」を初めとする事件。

12月23日、「太陽寺院」の信者16人がフランスの山中で後追い集団自殺(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p125)。

1996年

中国政府による法輪功の邪教(カルト)教団指定、法輪功側では迫害とされている。

1997年

3月26日、マーシャル・アップルホワイトを教祖とする「ヘブンズゲイト」の信者39人が米カリフォルニア州サンディエゴの豪邸で集団無理心中(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p126)。

1999年

11月、「ライフスペース」主催者である高橋弘二らがホテルで死亡した男性を放置しミイラ化させたとして翌2000年保護責任者遺棄致死罪容疑で逮捕された(2005年7月4日、最高裁で殺人罪により懲役8年とした東京高裁判決が確定)(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p120-p121)。

12月、「法の華三法行」が「足裏診断」という個人面談でマニュアルに従った不安を煽る話術で多額の金銭を騙し取った詐欺容疑で強制捜査され、2000年には教祖福永法源を含む教団関係者が逮捕された(大半が有罪となり、教団は2001年3月に破産宣告を受け解散)。

2000年代

2000年

3月17日、アフリカのウガンダにおいて、ジョセフ・キブウェテレを教祖とする「神の十戒復古運動」の信者約4千人が集団自殺(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p127)。

2001年

1月20日、宮崎県にある「加江田塾」の施設内で2体のミイラ化した遺体が発見される。主催者の男性と女性スタッフ2名が保護責任者遺棄致死罪と死体遺棄罪で懲役7年の刑を受ける)(<ref name="q&asyukyotorouble" />、p121)。

2007年

5月、詐欺容疑や強姦容疑などで国際刑事警察機構(ICPO)加盟の182か国で指名手配されていた「摂理」の教祖・鄭明析中国公安が拘束。

派生的な意味でのカルト

少数の熱烈な信奉者を持つ映画文学音楽などの作品についてもカルトという言葉が用いられることがしばしばある。カルト映画カルト・ミュージックなどがその例である。

こういった用法は英語にも見られる。ただし、日本では本来の意味での「カルト」が余り知られていなかったため、かつてはこちらの派生的用法の意味で使われていた。その一例として、特定分野のマニアックな内容を設問にしたクイズ番組『カルトQ』がある。


参考文献

一度は統一教会に入会し、考え方や感じ方までも変えられてしまった筆者が、周囲の助けを得て脱会し、その後、数多くの脱会者を助けた実例に基づいた内容で、「マインドコントロールとは何か」を知るための本として、幅広く読まれている。
裁判の参考資料として提出されたこともある資料を含む書籍で、上記の書籍と共にこの問題について客観的(学術的にも)に知るための極めて重要な参考文献。
フランスにおけるカルト(フランスではセクトと称する)問題について詳しく書かれている。

脚注

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関連項目

外部リンク

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