オートバイ

出典: Wikipedio


オートバイとは、二輪(三輪のものを含める場合もある)自動車のことである。auto-bikeから来た和製英語で正しくはモーターサイクル。2つの車輪を前後に配置し、エンジン電動機などの動力で走る乗り物を指す。日本の法律上では、道路交通法においては大型自動二輪車普通自動二輪車小型自動二輪車原動機付自転車の4つに、道路運送車両法においては、小型二輪自動車、軽二輪自動車、原動機付自転車の3つに、それぞれ区分される。

エンジン付き二輪車をベースとした三輪車(トライク)もオートバイに含める場合がある<ref>トライクは、日本の道路交通法ではオート三輪の分類となり普通免許で運転可であるが、2009年9月1日より対象車種のみ該当する二輪免許が必要(三輪バイク:9月から要二輪免許 ヘルメット着用も 毎日jp・毎日新聞 2009年6月11日)、道路運送車両法の分類ではサイドカー(側車付き二輪車)の扱いとなる</ref>。また、電動自転車であっても平地や上り坂で人力を使わずに走行出来るものもオートバイに含まれる。

自動二輪車」と言う表記について詳細は各種の区分及び条件を参照のこと。

ここでは主に日本国内の法令を基にした各種区分と免許を記載する。

目次

歴史

[[ファイル:Daimler-1-motorcycle-1.jpg|thumb|right|1885年にダイムラー社が造ったオートバイ・Reitwagenレプリカ]] 蒸気機関等の初期の熱機関が発明され、それを当時の自転車をベースとする2輪車の形式に取り入れて、新しい移動手段を開発しようとする試みがなされる様になった。 オートバイの原型とされるものは、フランスエンジニア発明家のルイ-ギヨーム・ペローが考案し、1868年に特許となった(当時の特許期間は15年)。これは、蒸気機関エンジン搭載のオートバイであり、1873年のウィーン万博に出品された。内燃機関エンジン搭載のオートバイの原型はダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(現在のダイムラー)により、1885年に作られた。1903年、現代のモペッドの原型となるオートバイをウイリアム・ハーレーとアーサー・ダビッドソンが製造した(後にハーレーダビッドソン社を創業)。第一次世界大戦中の進展を経て、1920年代になると、現在のオートバイに似た一般的な構造が確立する様になった。馬車よりも高機動・高性能であったオートバイは社会に浸透し、その後第二次世界大戦において、側車を付けて指揮官の移動手段としてや、偵察部隊などの機動部隊の装備として採用される事になる。

日本では、当初オートバイの利用は少なく、1910年頃に輸入車が見られるようになった程度であった。従って国産化も遅れ、1909年の島津楢蔵によるNS号が初の国産車であった。その後、スミス・モーター、インデアン、ハーレーダビッドソン (略称ハーレー)等の輸入が増え、1930年代には宮田製作所(現在の宮田工業)が「アサヒ号」を発売するなど、国産化も進んだ。輸入車の中でも、ハーレーは三共によって陸王として国産化された。

第二次世界大戦終戦後工業に著しい打撃を受け、軍事産業が壊滅した日本に於いては、それまで軍用機軍用車を製造していた会社が航空機・自動車の製造を禁じられたため、こぞってオートバイを製造販売する様になった。特に有名なのは、陸軍機で知られる中島飛行機を源流に持つ富士産業(現在の富士重工)のラビット、海軍機で知られる三菱を源流に持つ中日本重工(戦後の財閥解体に伴う三菱重工の分社)のシルバーピジョンというスクーターの両雄である。終戦直前には、陸王一社のみがオートバイ製造を続けていた状態から、雨後の筍の様にメーカが乱立したが、殆どのメーカが技術開発と市場競争で遅れをとり次々脱落していった。中でも目黒製作所のメグロ、東京発動機のトーハツは人気があり、メグロはメーカが倒産した後もカワサキに技術が移転した。

現在でも続くメーカとしては、本田技研工業(商標ホンダ)が日本陸軍払い下げの軍事無線機用小型エンジンを転用し、自転車用の補助動力エンジン(通称バタバタ後に続くカブの前身)を開発し販売した。同社に於ける最初のオートバイ事業であった事は有名な話である。このオートバイの系譜は長く、現在はカブの愛称で親しまれる。 Template:See also 日常の足として利用されてきたオートバイはやがて舞台をサーキットに移し、レースに世界各国のオートバイメーカーが参加した。精密加工を得意とする日本の企業は高回転高出力エンジンである並列多気筒エンジンを搭載したオートバイで参戦した。ホンダに続いて、ヤマハ、スズキ、カワサキもオートバイ製造に参加し、各社切磋琢磨して年々高性能化、タイトルを日本勢で塗りつぶし、市場における優位性を確保した。こうして日本はオートバイ大国となる。

しかし、道路が舗装整備され、オート三輪を経て四輪自動車が一般的な乗り物として普及すると、日本におけるオートバイ市場は頭打ちとなり、カブのようなビジネスバイクを除いて趣味の乗り物となり、オートバイの販売数は頭打ちになった。

1980年代前半になると、ヤマハが業界1位の座をホンダから奪おうとして日本のみならずアメリカをも舞台にしてHY戦争(詳細は項目参照)が起きた関係でラインナップが増えた裏でオートバイの価格が下落し、さらに1980年代後半からは好景気(バブル景気)も重なり、90年代前半にかけて日本にバイクブームが訪れた。

しかしこの80年代バイクブームにより、暴走族(共同危険型、違法競走型の別を問わず)が全国各地で増え、危険走行や爆音、交通事故が社会問題となった。それによって三ない運動に代表されるような「バイク=危険な乗り物・暴走族」という反バイク感情が高まり、バブル景気が過ぎた後はより実用性を求める社会に移ったこともあって急速にバイクブームも終息に向かっていく。

その後、90年代になると東南アジアを中心とする発展途上国の市場が拡大する一方、国内では原動機付自転車から四輪車への消費者のシフトおよび都市部での駐輪場不足のままの取り締まり強化にともない、実にピーク時にたいして、1/6という国内新車市場の大幅な縮小がおこった。

しかし、高い機動性はビジネスバイクや郵便、飲食店の宅配バイクという形で戦後間もない頃から社会に親しまれ、現在はバイク便など高速輸送にも使われる。救急車よりもより早く緊急現場に駆けつけることが出来ることから救急バイクなども存在する。警察交通機動隊が使用する白バイも、オートバイの高い機動性を利用するものである。自衛隊では斥候や連絡のために250ccのオフロードバイクを運用している。

呼称

オートバイは、日本では他にバイク単車等とも呼ばれる。「単車」は、側車とも呼ばれるサイドカーと区別するために用いられた言葉だったが、サイドカーが希少なものとなった後も単車という言葉は生き残っており、オートバイ全体を指す言葉となっている。

1898年明治31年)、日本に初めて自動車が輸入される。フランス製の「パナール」である。1902年(明治35年)にはアメリカ製のエンジン付自転車「トーマス」が輸入され、その呼び方は英語「モーターサイクル "motorcycle"」であった。ほかにもいくつか呼び方があり、「オートバイ」とう呼び方は1923年大正12年)に発売された月刊誌『オートバイ』によって日本に広まった。「オートバイ」とう呼び方は「モーターサイクル "motorcycle"」の別の呼び方「自動自転車 "auto bicycle"」から作られた言葉である<ref>『百年のマン島』(p179, p180)より。</ref><ref>『日本のオートバイの歴史。』(p7)には「アメリカ英語 "autobike" からの造語」とある。</ref>。 オートバイという呼称は1920年代には既に用いられていた和製英語であり、英語圏では通用しない。英語圏では、motorcycle, motorbike, autobicycle と呼ばれるほか、moto や cycle という略称も使われる。英語では、一般に「バイク(bike)」というと「自転車(bicycle)」を意味する(ただしmotorbikeの短縮としてbikeを自動二輪車という意味で使用することもある)。

排気量が125cc以下のオートバイのことを、警察関係や報道関係では「ミニバイク」と呼ぶことがある。

構造

駆動輪は、自動車では前輪駆動・後輪駆動・四輪駆動と分かれるが、オートバイにおける実用車のほとんどすべては、後輪駆動である。歴史的事例では、キャブレターで有名なフランスのソレックス社のベロ・ソレックス(日本でもダイハツがライセンス生産していた)が前輪駆動だった(後述のモペット同様の自転車にエンジンを取り付けた構造で、前輪フォーク上部に50ccエンジンを搭載していた)。また、星型5気筒エンジンを前輪に搭載したメゴラというオートバイも存在した。実験的には、前後二輪駆動の競技用オートバイが製造されたことがあるが、極めて特異であった上に競技の公平性を失する可能性を秘めていたために、その後のレギュレーション改定で禁止されている。また、通常のオートバイとは異なるが、自然公園のレンジャーなどが足として使う特殊車両として、二輪駆動のオートバイが存在する<ref>Rokon社が販売している。</ref>。

[[ファイル:Demper ducati 01.jpg|right|thumb|150px|オートバイのサスペンション(ドゥカティ・ムルティストラーダの後輪側サスペンションユニット)]] 自転車はマウンテンバイクを除いては、サスペンションが無いものが多いが、オートバイは車両重量が重く、高速で走るために、操縦安定性を確保する目的もあってサスペンション機構が有るのが一般的である(低速でしか走らない車種では受ける衝撃が少ないために無い場合もある)。サスペンションは、前輪がテレスコピック、後輪がスイングアームになっている物が多い。

また、サスペンションが有ることによって快適なだけではなく、高い速度を維持したままで走ることが出来るようになった。それはサスペンションの無いオートバイで100km/hを出すよりも、サスペンションの有るオートバイで180km/hを出すほうが楽な程である。そのため、サスペンション装備以前と以降のオートバイは別物といっても過言ではない。

現在の一般的なオートバイの操作系は、ブレーキスロットルの加減速系統は右側に、クラッチレバーシフトペダルの変速系統は左側に付いている。かつての英国車や、英国車を真似たものなどにブレーキペダルが左側、シフトペダルが右側の車種があった。

パワートレインは多種多様であり、一概にこれがオートバイのパワートレインであると言える物はないが、代表するものとして、一つは無段変速機構そのもののVベルトによって最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもので、簡易CVTともいえるもの(一般にオートマチックトランスミッション(オートマチック、オートマ)・ATと称する)、もう一つは常時噛合シーケンシャルトランスミッションからチェーンプロペラシャフトまたはベルトによる最終段減速と駆動輪への動力伝達を行うもの(一般にマニュアル・MTと称する)の二つがあげられる。スクーターの多くは前者である。

フレーム形状はダイアモンド、(シングル)クレードル、ダブルクレードル、モノコック、モノバックボーン、ツインスパーなど多彩であり、その車体の性格付けをするものであるが、多くの場合において基本的な構造は、前輪を支えるフロントフォークを高い位置から結び、車体中央下の低い位置で後輪を接続しているスイングアームへと結ばれている。例外としてリアサスペンションを持たない(ホイールをリジッドマウントしている)車種ではフレームと後輪が直結している(モペッドや、スズキ・チョイノリ等、高速走行を狙わない車種やクラシックバイク等)。

各種の区分及び条件

日本では道路交通法および道路運送車両法にて排気量に応じた区分が定められており、その区分により運転免許等の取扱が異なる。どの免許で何が運転できるかは運転免許参照のこと。オートバイに関する法制度は度々変わっており、以下は2008年現在のものである。

</td>

<tr> <td colspan="3" bgcolor="yellow">
普通二輪免許(小型限定)
</td>

<td colspan="3"></td> </tr><tr> <td colspan="1">原付免許
または普通免許等</td> <td colspan="4"></td> </td> </tr> <tr> <th rowspan="2">道路運送車両法
(ナンバープレート色)</th>

<td colspan="3">
原動機付自転車
</td>

<td rowspan="2">軽自動車
(軽二輪自動車)
[白]</td> <td rowspan="2" colspan="2" bgcolor="lime">小型自動車(小型二輪自動車)
[白+緑枠]</td> </tr> <tr> <td>第一種[白]</td> <td bgcolor="yellow">第二種乙[黄]</td> <td bgcolor="pink">第二種甲[桃]</td> </tr> <tr> <th>高速道路の通行</th>

<td colspan="3" bgcolor="#FFCCFF">
不可
</td> <td colspan="3" bgcolor="Lime">
</td>

</tr> <tr> <th>定期点検(整備)</th>

<td colspan="3" bgcolor="#FFCCFF">
不要(制度がない)
</td> <td colspan="3" bgcolor="Lime">
必要
</td>

</tr> <tr> <th>車検</th>

<td colspan="4" bgcolor="#FFCCFF">
不要(制度がない)
</td> <td colspan="2" bgcolor="Lime">
必要
</td>

</tr> <tr> <th>一般道最高速度</th>

<td bgcolor="#FFCCFF">
30km/h
</td> <td colspan="5" bgcolor="lime">
法定速度(60km/h)
</td>

</tr> <tr> <th>二人乗り</th>

<td bgcolor="#FFCCFF">
不可
</td> <td colspan="5" bgcolor="lime">
可(同乗者用の座席がないものは不可)
</td>

</tr> <tr> <th>二段階右折</th>

<td bgcolor="#FFCCFF">
必要
</td> <td colspan="5" bgcolor="lime">
不要(禁止されている<ref>道路交通法第34条第2条</ref>)
</td>

</tr> </table>

ナンバープレートの色は、自家用の場合である。事業用であるバイク便は、字と地の色が入れ代わる(緑ナンバー)。原付125cc以下は市区町村の裁量で、形状や色が違うところがある。自家用は青文字の所が多く、公用(非課税)の警察等は赤文字となる所が多い。旧郵便バイクは赤文字だったが、民営化に伴い標準の青文字となった。

大型自動二輪免許に関する法改正後は、法令上は単なる「自動二輪車」と言う表記は使われなくなった。一般的にはこの表記は、大型自動二輪車および普通自動二輪車の総称として使われる。ただし、道路標識等における「自二輪」と言う表記は、法令上も大型自動二輪車および普通自動二輪車を意味している。

AT限定免許

AT車に限定した普通自動二輪・大型自動二輪(650cc以下)のAT限定免許が2005年6月1日から施行されている。

概要

免許の規定によるAT車(AT二輪車)とは、「オートマチック・トランスミッションその他のクラッチ操作を要しない機構がとられており、クラッチの操作装置を有しない自動二輪車」とされており、スクーターが主流だが、スーパーカブ110のような「クラッチレバーのないMT車」も運転できる。

AT限定大型自動二輪免許の条件欄には「0.650リットル以下のAT車に限る」と表記される。この免許区分が設定された時点では650ccを超えるスクーターが事実上存在しなかったため「AT限定大型二輪」は650cc以下限定とされ、ボスホス車などそれ以上の排気量を持つAT車に乗る場合は限定なしの大型二輪免許が必要となる。

AT車限定の二輪免許を取得させようとする自動車教習所および運転免許試験場は、クラッチの付いた大型・中型・小型、大型スクーター、中型スクーター、小型スクーターを用意する必要があり、スクーター購入の追加設備投資が必要となる。

原動機付自転車(原付、50cc以下)については、日本の法律上ATとMTの区分が存在しないため、AT限定免許は存在しない。

経緯

自動車のAT限定免許が1991年に作られてからも、オートバイ(自動二輪)についてはAT車が普及していった後もしばらくは限定なしの免許が続いていた。

しかしオートバイのAT限定免許導入には要望があり、例えば2002年3月14日に、ヤマハ発動機の長谷川武彦会長(2002年当時)が警察庁宛に「二輪車のオートマチック車限定免許の導入について」という要望書を提出している。 その要望書によれば、日本国内の二輪車出荷台数は、小型自動二輪(または原付二種、51~125cc)で90%以上、軽二輪(126~250cc)クラスでも約35%であったとされ<ref>日本自動車工業会 JAMAGAZINE 2002年4月号</ref>、自動二輪車全体の出荷台数に占めるAT車の割合は約6割<ref name="kaiseishian">道路交通法施行規則等の改正試案</ref>にもなっていた。

これらを受けて警察庁はまず「道路交通法施行規則等の改正試案」<ref name="kaiseishian"/>を作成し、一般から意見を募った。その後2004年(平成16年)5月に発表された「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令<ref>道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令</ref>」の中に「AT限定二輪免許の導入」が盛り込まれ、翌2005年6月より実施された。

区分

AT限定免許の区分は下記の通りである。なお、参考として通常(AT限定なし)の免許区分も併記する。

排気量 50cc以下 50cc超
90cc以下
90cc超
125cc以下
125cc超
250cc以下
250cc超
400cc以下
400cc超
道路交通法
(呼称区分)
道路交通法
(運転免許区分)
大型二輪免許
普通二輪免許
<td bgcolor="#9999FF">
普通自動二輪
</td> <td colspan="2" bgcolor="pink">
大型自動二輪
</td> <tr> <th>AT限定免許</th> <td>
-(4輪AT限定でも可)
</th> <td bgcolor="#00ff00">
普通自動二輪
(小型AT限定)
</td> <td bgcolor="#9966ee">
普通自動二輪
(AT限定)
</td> <td bgcolor="#FF7777">
大型自動二輪
(AT限定)
</td> <td>
-
</td>

</tr> <tr> <th>技能試験</th> <td>技能試験無し</th> <td> 90~125ccの車両で教習・試験が行われる(AT限定はスクーター)</td> <td> 300~400ccの車両で教習・試験が行われる(AT限定はスクーター)</div></td> <td> 600~650ccのATスクーターで教習・試験が行われる</td>

<td>
おおよそ750ccのMT車で教習・試験が行われる
</td>

</tr> <tr> <th>MTに乗るには</th> <td colspan="1"> 技能試験無しでMTに乗れる</th>

<td colspan="3">
AT限定解除審査に合格が必要(または教習所で下表< >の時限「技能教習の教習時間の基準」受講)
</td> <td>
二輪全車両の運転可
</td>

</tr> </table>

二輪免許取得への指定教習所における教習時間の基準

  • 数字の前に「学科」がついているものは学科教習、数字のみは技能教習の時間
  • < >部分は限定解除審査となり、免許センター(試験場)で免許証は新規に発行されず、限定解除の裏書となる。
  • ---部分は、上位免許であり、所持免許で運転できるので、試験を受けることは出来ない。
排気量 ~50cc以下 50超125cc以下 125超400cc以下 400超650cc以下 650cc超~
AT限定なし免許
原付
</th> <td bgcolor="yellow">普通自動二輪(小型限定)
現在の→
所持免許
免許なし
原付
普通(中型・大型・大特)
四輪
AT小型
限定
小型
限定
AT普通
二輪
普通
二輪
AT大型
二輪
大型
二輪
受ける免許↓学科26学科1学科0学科0学科0学科0学科0 
AT小型限定98------------------
小型限定1210<4>---不明<ref group="注釈" name="ex03">審査であるが、時限数が不明(段階的免許取得の順番として想定外のため)。</ref>---不明<ref group="注釈" name="ex03"/>---
AT普通二輪1513<5><3>------------
普通二輪1917<8><5><5><ref group="注釈" name="ex02">普通二輪の限定解除で、AT限定普通二輪所持の場合、5時間が基準であるが、ATでない小型限定二輪免許所持の場合3時間となる。</ref>---不明<ref group="注釈" name="ex03"/>---
AT大型二輪29241817109------
大型二輪363124201612<8><ref group="注釈" name="ex01">大型二輪の限定解除で、AT限定大型二輪所持の場合、8時間が基準であるが、ATでない普通二輪(又はATでない小型限定普通二輪)所持の場合は5時間となる。</ref>---

<references group="注釈"/>

  • 所持免許がないか、原付免許、小型特殊のみの場合は、学科が26時間必要
  • 普通(中型・大型・大特)四輪免許所持であれば、学科が1時間必要
  • AT小型限定、小型限定以上の二輪免許があれば学科は不要

二人乗り規制

高速道路では側車付き二輪車を除き、二人乗りが禁止という状況が長年続いていたが、2005年4月1日より二人乗りが解禁された。ただし、20歳以上で、免許の期間が通算3年以上などの条件がある。

また、首都高速の一部などの道路<ref>首都高速道路における二人乗り規制範囲</ref>では、側車付きを除き二人乗り禁止となっている(東京都公安委員会は禁止の理由として当該範囲は二人乗りが危険だと主張したが、これに関して二人乗り解禁の運動をしてきた一部のライダーは「根拠が無い差別であり、仮に他の高速を走るよりは危険だとしても一般道より安全である」として、全面解禁を要望している)。

その他の高速道路および一般道路では、「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」(310の2)の道路標識により特に規制されていない場合には、二人乗りが可能である。

いずれの道路および自動二輪車についても、免許の期間が通算1年以上などの条件を満たさないと、本来の乗車定員である二人乗りはできない。また側車付き二輪車は二人乗り規制適用除外となっている(トライクは2009年9月1日より変更点あるためトライク#トライクタイプの二輪車についてを参照)。

押して歩く場合

押して歩く場合は歩行者の扱いになる。ただし、押しているものが下記の条件のいずれかに該当する場合は歩行者扱いはされない。

  • エンジンがかかっている状態
  • 側車付き(トライクを含む)
  • 他の車を牽引している

用途と種類

以下に主なバイクの種類とその用途を記す。これらは絶対的なものではなく、いくつかのカテゴリーに跨っているものや、見る人によりカテゴリー分けが違うものもある。また必ずしも記載された用途に限られて乗られているわけではない。

ビジネスバイク
新聞配達、飲食店の出前、郵便配達、営業用車両として利用されているタイプのバイクで、多くは原付もしくは小型自動二輪車である。高い耐久性と、低燃費が特徴で、ホイールサイズが大きいため悪路での走行性にも優れている。このタイプの元祖はホンダスーパーカブで、他社の同タイプのバイクの外観もスーパーカブに酷似している。また、自動遠心クラッチ(セミオートマ)なのでAT限定免許で運転できる。後述の宅配バイクもこちらのビジネスバイクの1つに含むこともある。
宅配バイク
[[ファイル:Gyro-X.jpg|thumb|right|120px|ホンダ・ジャイロ]]
ピザなどの宅配に最適化されたもので、天井が付いた三輪のスクーター形式(スリーターとも呼ばれる)が多い。ホンダ・ジャイロキャノピーが代表格。操作性・性能などは原付と同等であるが、1985年2月15日より道路交通法上はミニカーの扱いで運転には普通自動車免許が必要であった<ref name="ishikawa">Template:PDFlink 石川県警察 平成2年12月26日</ref>。車種としては、ヒガ・インダストリーズが1985年に日本で初めての宅配ピザであるドミノ・ピザを創業する際に、日本の交通事情に合わせてオリジナルで設計したのが元祖。宅配バイクがこのような形式になったのは、当時ミニカーとして登録できたことにより、ヘルメットの着用は不要、原付の30km/hという速度制限にも縛られないなどのメリットがあったことによる。1980年代後半から台数が大幅増加しそれに伴い関与したした事故も激増、事故該当者の人身損傷部分が原付・自動二輪車と類似していることなどの理由から、1991年1月1日から道路交通法上の扱いを原動機付自転車に変更、原付関係の各種法規が適用となり原動機付自転車でも運転可能となった<ref name="ishikawa"/>(それ以降、この類をミニカーとして登録するためには、条件に適合するような改造、軸距を拡大またはタイヤホイールを替えるなどの必要がある)。後部には宅配商品を乗せるトランクが付いている。他業種では、コピー機などOA機器エスカレーターエレベーターのメンテナンス、警備業で都心を走るのが見られる。
最近では経費削減や原油高などの影響で、降雪の恐れが少ない地域では二輪タイプ使用の宅配もみられるようになってきた。ヤマハ・ギアが代表格。オプションで屋根を取り付ける事も可能。日本KFC(株)はヤマハ発動機と提携しケンタッキーフライドチキンピザハットの宅配バイクに赤く塗られた市場では売られていない赤ギアを使用している。またピザーラすかいらーくの一部エリアなども屋根なし二輪や屋根付二輪タイプを導入しているところがある。
屋根の付いた二輪は少ないが、ホンダ・キャビーナに代表されるピザ宅配バイクでないものや、後付けで屋根を装着したビッグスクーターがある。
スクーター
[[ファイル:Choinori.jpg|thumb|right|120px|スズキ・チョイノリ]]
小径のタイヤで、乗車時に車体をまたぐ必要が無く、両足をそろえて乗ることができるバイク(ただし、近年の排気量拡大により車体剛性を強化する目的でフラットステップではない車体も出て来ている)。多くはクラッチ操作、変速操作共不要のオートマチック・トランスミッションを採用しており、その操作の簡単さもあり、販売台数が多い。50ccクラスから650ccクラスのものまであり、このために、自動二輪の免許制度にオートマ(AT)限定が新設された。この背景には高速走行可能ではあるが車検制度の無い250ccクラスの「ビッグスクーター」と呼ばれる車種の販売増がある。最近は環境貢献や近距離利用に着目した電動スクーターも市販されてきている。
モペット(moped)
ステップ(足を乗せる棒)の代わりに自転車のようなペダルが配置されているバイク。免許制度上無免許で運転可能なフランスやイタリアの製品が多い。前述のように日本では第二次大戦後広く用いられたが、法律によりエンジンの動作状態にかかわらず原動機付自転車の扱いとなり、ヘルメットの着装・車道走行・ナンバー取得が義務づけられ、免許が必要なため、現在ではほとんど普及していない。エンジンを回さずペダルを踏んで走る事も不可能ではない、文字通りの原動機付自転車であるが、自転車ベースの一部の車種をのぞいてペダル走行では極端に低速且つ重い。日本式発音で転訛してしまったのだが、本来は「モペッド」(motor + pedal で moped)。
コミューター
特に定義はないが、一般的には都市において通勤や通学に使われる小回りのきくオートバイをさす。主にスクーターやビジネスバイクなどが当てはまる。ちなみにコミューターとは「通勤」および「通学」の意。
オンロードバイク
舗装路を快適に走行できるように工夫されたタイプのバイク。ヨーロッパで発達したヨーロピアンタイプアメリカ合衆国で発達したアメリカン(クルーザー)タイプ、競技用車両を模したものはかつてレーサーレプリカと呼ばれ、現在はスーパースポーツなどと呼ばれている。また、長距離移動を重視するツアラータイプ、運動性能を重視するスポーツタイプ、街中での乗りやすさを重視するストリートタイプにも分類できる。
ヨーロピアン
前傾姿勢での乗車となり、操縦性を重視したきびきびとした走りが魅力となっている。特に、カウルがないものはネイキッド (“裸”の意)と呼ばれる。スーパースポーツなどからカウルを取り外したり、またはそのような外観のものをストリートファイターとも呼ぶことがある。
アメリカン
ソファーに座る様な姿勢で乗車し、真っ直ぐな道を低・中速で中距離(1日数百Km以内、それ以上だとツアラータイプが楽)移動するのに向いている。低く長い車体、寝たキャスター、ステップフォワードな乗車姿勢が特徴である。
なおこのタイプを「アメリカン」と呼ぶのは日本のみで、英語ではクルーザーと呼ぶ。
スーパースポーツ(SSと略される)
レーサーレプリカとも呼ばれるが、ほぼ同じ意味である。スポーツ走行に適したコンパクトなポジションと軽量なボディでスポーツ走行に優れるが、前傾姿勢を強いられるために長距離走行時の疲労がたまりやすい。高出力のエンジンを持ち、機敏に動くことよりも最高速を目指すものは下記にあるメガスポーツと呼ぶこともある。
ツアラー
スーパースポーツと見た目は似ているが、ネイキッドやヨーロピアンタイプ同様のゆったりとしたポジションとシートと、空力特性に優れた大柄のカウリングを持ち直進安定性と長距離走行への居住性に優れている。反面、機敏に動くことが苦手なため、スポーツ走行は不利とされる。
メガスポーツ
ツアラーのような大柄な車体にスーパースポーツの要素を取り込んだマシン。ハイスピードツアラーと呼ばれることもある。2000年代初頭までは、各社メーカーのフラッグシップとして扱われていた。快適性やコーナリング性能も然ることながら、所謂最高速度を重視したのが特徴である。
ストリート
小型軽量のバイクが多く、絶対的な性能は高くないが、取り回しが楽で気軽に乗ることができる。反面、高速で巡航するような用途には適していない。ファッション感覚で乗る人も多く、最初から特徴的な外観をしていたり、スカチューンのように見た目重視のカスタムベースになることも多い。
オールドルック
レトロとも呼ばれる。スポークホイールや空冷エンジンなど旧車に似た外観を持つバイク。実際の旧車との違いは、旧車は設計・製造そのものが古く、オールドルックは昔(オールド)のバイクを「模した見た目(ルック)」の設計がされたものを言う。エンジンや電装系などは当然新しいものが搭載されている。
デュアルパーパス
舗装路のみならず、未舗装路でも快適に走行できるように工夫されたバイク。悪路での走行性を高めるため、オンロードバイクに比べホイールの径が大きくサスペンションのストロークが長いのに加え、ホイールには衝撃を吸収しやすいスポークホイールが多用される。乗車姿勢は基本的に着座だが、路面状況によっては中座、あるいは直立することもある。
一部未舗装路を含む道路を、より速く走ることを目的としたジャンルである。
アドベンチャーバイク
大排気量のエンジンとハーフカウルを搭載し、未舗装路の走破性を一部犠牲にして高速道路の走行性を高めたモデル。ツアラータイプと同様、大型のパニヤケースを追加できるものが多い。タイヤやサスペンションをよりオフ向けに振った派生モデルがラリー競技で使用される。
オフロードタイプ
未舗装路を走ることを前提にしたバイク。一般公道を走行しない競技用のものは保安基準に適合していなくてもよいので、ナンバーなし、方向指示器もヘッドライトもないなど必要最低限の装備となっている。バッテリーやセルモーターすらないものもある。後述するように、舗装道路に特化したオンロードタイヤを履かせたスーパーモタードの流行で派生したレーサーレプリカモデルであるモタードタイプの母体となった。
モトクロスバイク
林間や岩場などに設けられたコースを、より速く走破することを目的としている。高いジャンプから柔軟に着地できるようサスペンションのストロークが長く、最低地上高が高い。公道走行できない競技用のものが多い。
トライアルバイク
スピードではなく、他種のバイクではまず走破できないような荒地(岩場、沢、崖、泥濘「でいねい」地、等)および障害物等の走破性を重視している。乾燥重量は非常に軽く(成人2人分程度)低回転域でのトルクと瞬発力があるエンジンが搭載され、ハンドルの切れ角が大きいため小回りがきく。コースをクリアするためライダーがマシン上で様々な動きをする邪魔にならないようにシート位置は低くあるいは全く無く燃料タンクも小さい。逆に最低地上高は高い。また前輪の動きが見やすいように泥除けはタイヤに近い。かつては公道走行できる国産車が販売されていたが、現在は2ストローク車への規制、市場規模の小ささ等から販売されていない。なお国産中古車、競技専用車、および公道走行も可能な外車や逆輸入車は現在も入手できる。
エンデューロレーサー
耐久レースに用いる。モトクロスバイクに近いが、長時間走行しても疲れないようになっている。公道走行もできるようになっているものが多い。
ターミネーター・モタードタイプ
前後輪をオンロード仕様に換装し、オンロード仕様にしたモトクロスタイプのものをターミネーター、また、オンロード、オフロード問わずあらゆる状況においてスピード走行できるようにしたものをモタードタイプと呼ぶ。後者は主にスーパーモタードという競技が元になっており、レース用として改造された車両が多いが、最近は公道仕様もある。モタードタイプとトライアルバイクの折衷的なデザインを持ちこれらのバイクで可能なパフォーマンス走行に主眼をおいたエクストリームと呼ばれるタイプが近年市販されている。
フラットトラッカー
アメリカで発祥のダートトラックレースに対応する車両。エンジンは単気筒のスリムな車体で、サスペンションストロークは少なく車高は低め、ダウンフェンダーで後部に大きなゼッケンプレートを持つのが特徴。
側車付バイク

thumb|right|120px|サイドカー

普通のバイクの側方に座席のある車を取り付けたもので、サイドカーと呼ばれる。通常は、生産もしくは改造された国での四輪車における助手席側に取り付けられる。運転免許の区分は本車の排気量に応じた普通自動二輪免許または大型自動二輪免許である。サイドカーに対する特別な免許は存在しない。側車を外した状態で運転できない構造の車両は普通免許となる(例として『ウラル パトロール・ギアアップ』や『ゼウス』およびトライク)。
レースベース車
オンロード・オフロードや見た目、排気量などにかかわらず競技走行用の車両。コンペティションとも言われる。保安部品を備えず、証明書類は発行されないのが一般的である。レギュレーションに基づいて製造販売される物もある(ホモロゲーション)。基本的には公道走行する事は出来ない車両を指すが、日本国外から輸入した車両については通関証明書類を提示し保安部品を備えれば、正規に車両登録することが可能で公道走行も行える。このことから日本でも販売している競技用車両を、わざわざ外国から買い入れ、輸入(いわゆる逆輸入)して公道走行仕様にする業者も多い。

特殊な用途

緊急自動車
機動性に着目して、オートバイを緊急自動車として使う場合もある。よく見かけるのは交通取締りなどの用途に使われる白バイだが、他にもポンプ車が入れない狭隘地で初期消火を担当する消防バイク、応急処置を施し救命率を高めるための救急バイクなどがある。

オートバイの利点と欠点

利点

四輪車等に対する、二輪車の利点としては、以下が挙げられる。

  • 機動性が良く狭い道路でも通行が可能である。
  • 災害が起きても、運転者が然るべき技術を持っていれば、崩落地帯さえ突破し、孤立した地域などへ伝令に行ける(救助や消防にも使用されている)。
  • 車体が小さいために、駐車するのに広い空間や面積を必要としない(当然ながら駐車禁止区間に駐車すれば違反となる)。
  • ハイブリッドカーと大排気量のスーパースポーツ車といった極端な比較をしなければ、概ね自動車よりも燃費が良い。一例としてホンダ・カブは1980年代に180km/Lを記録した<ref>ホンダプレスリリース:超低燃費リッター当り180kmを実現(1983年) ただしこれは定速燃費であり、実際の道路運行を想定して計測される四輪車のモード燃費とは一概に比較できない。</ref>。
  • 保険料や税金、検査料金、駐車場代など、維持費が安い。
  • 渋滞中でも四輪車の横をすり抜けができる。走行方法は四輪車の左側を徐行するのが基本であるが、守られていないのが現状である。2車線以上の道路で四輪車の間を走行すると、進路変更禁止違反に問われる場合がある。またすり抜けようとした際、車のドアが開き衝突する事故も起きている。
  • Uターンするのが自動車よりも容易である。また車種によっては後進機能を持っているものもある。
  • トラブルで動かなくなっても、車輪さえ動けば一人でも押して動かすことができる。
  • 小型のバイク(原動機付き自転車など)であればワンボックスカーなどに積載可能な事もある。
  • 全身が外気に晒されているので、季候の良い風土では爽快な気分で走行を楽しむことが出来る。
  • 基本的な運転操作であるアクセル、ブレーキ、クラッチ、シフト操作以外に、コーナーリング時の身体による左右の加重移動(ハングオン等)、両足によるバイク車体のグリップ、上半身の姿勢制御等運転に要求される動作が多いため、4輪に比べてアクティブでスポーツ性が高い乗り物とみなされることが多い。

欠点

欠点については、次節「オートバイの危険性」もあわせて参照のこと。

  • 四輪車と違い、身体が車体で覆われておらず露出しているために、事故の際には衝撃を直接受ける。
  • 乗り手の技量、体格、体力が、車両性能と並んで、二輪車としての走行性能に大きく影響する。
  • 二輪という特性上、運転操作を誤れば、転倒する恐れがある。
  • 猛暑、厳寒、雨天といった悪天候時は、安全性・快適性が著しく損なわれる。
  • 高速道路、有料道路の料金は、おおむね軽自動車と同じ区分となり、その車体の重量・大きさ、道路資源への消耗度合いに対して高めである。
  • 積雪時の走破性は概ね悪い。スリップしやすい、曲がらないなど、冬季の走行は一部の車種を除き困難である。
  • 日本の公道において、二輪車通行禁止の道路がいまだに存在する。特に、原付は高速道路以外にも通行できない道路が多くある。
  • トラック、ワゴン車などに容易に積載可能であるため、盗難に遭いやすい。近年ではオートバイ専門の国際窃盗団が計画的に日本のバイクを窃盗し、他国に輸出するという問題が発生している。
  • 大量の荷物を積むことができない。
  • 3人以上の乗車は日本の法律では違反となる(側車付きを除く)。
  • フルカウル車を除き基本的にエンジンは外部に露出しており、また四輪車と比べ排気管の長さおよび消音器の容量を十分に確保しづらいため、一般的に四輪車よりも騒音は大きい傾向にある。

オートバイの危険性

オートバイ(こと二輪車)は静止状態においてスタンドなしでは自立できないなど不安定な構造で、乗用車一般の中でも接地面積が狭く制動に利用できる力が小さいなどの、独特の性質を備える。

こういったオートバイに固有の性質を理解し適切に操作すれば、乗用車一般同様に公道を安全に走行可能であるし、事実ほとんどのオートバイとこれに乗るライダーは公道を安全に走行している。しかしオートバイを不適切に利用する者も存在するほか、日本ではしばしば暴走族が諸般の事情からオートバイで暴走するなど反社会的な行動をとることにも絡め、オートバイそのものを社会問題と位置づける向きもあり、1990年代以前の日本教育界でとられた『三ない運動』(オートバイを買わない・乗らない・免許を取らない)のような排斥運動も発生している。

ただ同運動では、強硬に批判するほどに反社会的な行動に憧憬を抱く側が過剰にオートバイに関心を示したり、禁止されているために隠れ乗った結果として事故を起こしたりといったことも1990年代より社会問題化、その方針を改めミニバイク(原動機付自転車)を容認するとともに安全教育を徹底させるなどの方策を取るところもあらわれている。

オートバイ愛好者らや車両メーカーなどによるオートバイ弁護や安全教育のための情報なども出ている一方で、依然としてオートバイを危険な乗り物だとみなす意識も根強く存在し、世間一般に様々な風説ないし場合によっては偏見なども見出される。しかし実際には、オートバイ乗車中の交通事故での死亡者数は1989年以降減少し続けており、安全対策の模範生だという意見もあるほどである<ref>オートバイ乗車中の交通事故での死者数は2006年には1119人であり、これは第2次交通戦争時の1989年(2575人)の半数以下、第1次交通戦争時の1964年(3762人)の3分の1以下である(交通安全の模範例となる二輪車 - 二輪車の利用環境改善と安全走行のために | JAMAGAZINE 2007年5月号より)</ref>。ただし偏見はともかくとしても、オートバイ固有の性質からくる他の乗用車一般にはない独特の危険性は存在し、自動車教習所から運転免許更新時における安全教育に至るまで、そういった固有の危険性に関する情報の提供が行われている。

この節では、その「オートバイの危険性」について説明する。

オートバイ事故の特徴

事故原因の特徴

オートバイには、以下の危険が存在するが、特性を理解し、危険を自覚すれば、事故の確率を下げることができる。

  1. 自立できない
    自転車と同様、タイヤが二つしかない乗り物特有の不安定さを持つ。そのため停車時には乗員が足で支える必要があり、低速走行時は不安定である。また、ある程度以上のスピードでの走行中はホイール等のジャイロ効果で安定するが、そのバランスはスリップなどによって崩れやすく、実質的な走行安定性は四輪車に劣る。
  2. スリップの危険
    スリップするとバランスを崩し転倒しやすい。そのため、比較的軽度のスリップで下記の理由によって生命の危機に直面しやすく、四輪車に比べると注意を要する。こと雨天時の濡れた路面や冬場の路面凍結時などは特にスリップが発生しやすいため注意が必要である。このような状況で走行する場合は車間距離を晴天時より広めに取り、センターラインなどの白線の上やマンホールの蓋の上、路面に砂が飛び散っている所など、摩擦抵抗の少ない所を出来るだけ避けて走るなどの危険予測を心がけることが望ましい。また、タイヤの磨耗が進行すると更にスリップの危険性が高まる。
  3. 身体が剥き出しである
    オートバイは、四輪車をはじめとする多くの乗り物とは異なり乗員を保護する箱構造を持たず、むき出しのまま乗車する。そのため事故の際は乗員は身ひとつで放り出され、衝撃を受けることとなる。逆にバイクの危険性として語られるものの多くはこの理由によるため、また、雨天などによる悪天候時にはシールド(あるいはゴーグル)付きヘルメットであってもシールドの傷や汚れや水滴や曇りで視界確保が困難なケースもある。同時に欠点の節にて前述があるように悪天候時には安全性・快適性も著しく損なわれる。そのためヘルメット等のライディングギヤ関連が開発・進歩することになるが未だに絶対安全とはいえないのが現実である。
  4. 機動性の逆効果
    オートバイの持つ高い機動性も、危険を拡大する方向に向いうる。前述の通り乗員はむき身のため、走行中は自車の周囲に一定の空間を保つ心理が働き易い。道路状況によってその空間が失われると、機動性を生かし進路変更や追い越しを行なうことになるが、早い機動を予測しない四輪車からは発見が遅れる場合がある。
  5. 被視認性の低さ
    さらにオートバイは四輪車と比べて小さいため軽視されやすく目立ちにくい上に、対向車からは小さいことに起因する遠近法による錯覚を促しやすく、実際よりも遠くにあると認識されたり、実際の速度より遅く感じられることが多い。渋滞中の道路脇を走るオートバイの進路を四輪車がふさいだり、交差点で右折四輪車が対向直進してくるオートバイの進路をふさいだりすることによる衝突事故(いわゆる右直事故)の多くは、四輪運転者がオートバイを見落したことによって発生するものである。このため1980年代から日本においてもヘッドライトの昼間点灯が推奨されるようになった。これに応えてヘッドライトスイッチ廃止のメーカー自主規制が1993年より始まり、ヘッドライトの常時点灯(昼間点灯)が普及した(1998年より法制化)。
    四輪車でも常時点灯が行われることで、相対的にオートバイが目立たなくなる。

オートバイ事故による外傷の特徴

オートバイ事故による外傷の特徴を知ることは、後述の「#推奨される安全装備」の必要性を理解する上で重要である。しかし、先進国のほとんどにおいて、オートバイは圧倒的に少数派の交通手段であるから、その特徴を疫学的に記述した研究は少ないのが現状である。

ヘルメット着用が義務化されていなかった時代は、頭部外傷による死亡が6割を占めていた<ref name="Sarkar S">Sarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38(2):242-5. PMID 7869444</ref>。日本を含めて義務化された国・地域でも、依然として頭部の損傷は死亡原因の4割でトップである<ref>平成18年中の交通事故の発生状況について </ref>。特に初心者のライダーほど頭部(顔面を含む)の損傷によって死亡する率が高い<ref name="name">Stella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14(1):58-61. PMID 11993836</ref>。

次いで多いのが体幹の損傷による死亡であり、ことに胸部外傷による死亡が多い。Krausら<ref name="Kraus JF">Kraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52(3):548-53. PMID 11901334</ref>の研究では、胸部外傷は以下のような病態をもたらす。

  1. 一本の肋骨が2箇所以上骨折すると、呼吸困難になる(フレイルチェスト
  2. 肋骨や胸骨が折れていると、心停止時に有効な心臓マッサージをすることができない。
  3. 折れた肋骨が肺を傷つければ緊張性気胸や開放性気胸を起こす。或いは心臓大動脈を傷つければ致命的である。また、肝臓脾臓を傷つけることもあり、この場合も緊急手術のできる病院が見つからなければ確実に死亡する。

このように、肋骨骨折が体内でさらなる損傷を引き起こし、致死率を高めるのである。このため同研究では、胸部プロテクターの普及を図ることを推奨している。また、四肢の損傷のみによって死に至ることは少ない(大腿部の大きな損傷を除く)。

しかし、#ライディングギアの節に詳述されるように、肘・肩・膝のプロテクターですら普及度は低く、まして公道走行で胸部プロテクターを装備しているライダーは皆無に近かった。白バイ隊に配備されている物が民生発売され、ようやく認知度が上がりつつある<ref name="autoby">月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210</ref>。

頚椎損傷は全体の死亡率では高くないものの、救命救急士や医師は重要視する。これは初め無症状であっても、負傷者が自分で或いは他動的に頚部を動かすことによって重度の障害(脊髄損傷)を負ってしまう事があるからである。オートバイ事故に限らず、交通事故の負傷者は絶対に、不用意に首・肩・頭部を動かしてはならない。

オートバイ事故に対する社会的責任

日本脊髄基金の統計(1990-1992)によると、日本の脊髄損傷事故の原因のうち、約14%がオートバイによる事故である(四輪事故は約20%)。メーカー側も、安全性をPRし、安全教室への参加や、頭部の損傷に対してはヘルメットの着用を奨励しているが、脊髄損傷に対しては注意さえ喚起しておらず、「脊髄パッド」ないし「脊椎パッド」(レーサーがレース中に使用している。市販もされている。#ライディングギア参照)の着用の必要性には深く言及されていないのが現実である。これはオートバイの危険なイメージを消費者に植え付けることを避けるためと考えられるが、毎年多くの若者を障害へと追い込む危険性を下げる社会的義務がメーカー側にあるとする議論が起こりつつある。こういったオートバイの危険性について、行政、オートバイのメーカーや業界団体、オートバイ雑誌やライダーの団体などが、各種の対策や啓発活動を行っている。

行政による対策

オートバイによる重傷事故・死亡事故の際、頭部への負傷が占める割合が高かったことから、オートバイの乗車に際してヘルメットの着用が義務付けられるようになった。ヘルメット着用義務の完全実施は、1978年に自動二輪車、1986年に原動機付自転車、いずれも道路交通法によって課せられている。

メーカーによる安全対策

晩年本田宗一郎は自社が製造したオートバイにより多くの若者が障害者になる事実に心を痛めたとされる。オートバイのメーカーも、より安全なオートバイを目指しての開発を進めている。

たとえば本田技研工業は、オートバイにエアバッグを装着し、衝突時にライダーが空中にはね飛ばされるのを減らす機構を開発し発表した(2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備される予定)。ドイツのオートバイメーカーであるBMWは、オートバイにシートベルトを備えることで衝突時に空中にはね飛ばされることを抑止する機構を開発し、C1というモデルに装備して発売している(このシートベルト方式は、ヘルメットを装着しない方が負傷が少ないという研究結果があるため、ヘルメットの装着を義務付ける日本国内の法制度との兼ね合いで議論を呼んだ)。

ライディングギアの改良も行われている。ヘルメットでは集中力低下をベンチレーションで防ぐ、事故の際頚椎にできるだけ力をかけずに脱がせるようにする等の改良がなされ(ヘルメットリムーバーまたエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されており、ヘルメットリムーバーにおいてはロードレースなどの競技会で義務化されつつある。)、定番であった革ツナギの他にも新素材による強靱なパッド付きウェアが販売され、ヒットエアーのようにエアバッグを仕込んだものまで現れた。

また、メーカーは、イベント・雑誌やテレビなどを用いて、ライダーにオートバイの危険性を認識させることや、安全な乗車方法を知ってもらうといった啓蒙活動を行っている。

なお、メーカーや業界団体は、ロビイング活動を通しても実質的な二輪車の安全を図っている。たとえば一部区間を除き2005年4月より実現した「高速道路における二人乗りの解禁」がそれである。一般道路における歩行者との混在や交差点の存在などに基づく危険性が高速走行の危険性より高いため、長距離を移動する場合には高速道路の方が安全という研究結果があり、これに基づく物である。

雑誌やライダーによる安全対策

オートバイの直接のユーザであるライダーのグループの中にも、自主的なイベントなどを通じて、啓発活動を行っているところがある。こういった活動には、単に「事故を起こさない」「事故にあわない」といった受身のものだけではなく、たとえば救護技術の習得など能動的なものも含まれる。

また、ライダーをマーケットとするオートバイ雑誌なども、しばしば安全性に関する特集記事を掲載している。

ライディングギア

オートバイに乗車する際身につける装備をいう。衣類に属するものは「ライディングウェア」と呼ぶ。専用のライディングウェアが市販されている。それらはオートバイの乗車姿勢に合わせて裁断され、防護性も考えられており、ライディングに適した機能をもつ。デザインもスポーツ走行、ツーリング、オフロード走破等TPOに合ったものとなっている。また、昔に比べ女性ライダーが増え、女性の体型に合わせ機能性や防護性だけでなくファッション性も兼ね備えたライディングウェアもある。また、こういった装備の改良は新素材の導入や構造の工夫などによって、通年快適に乗車できるよう工夫された製品も出回っている。

推奨される安全装備

right|thumb|200px|オートバイ用ヘルメット(画像左からジェット型・フルフェイス型・フリップアップ型) 現在のところ、事故の際にライダーを防護するのはライディングギアのみである。安全のためにも、ライダーとしての自覚のためにも、オートバイに乗車する際は適切な装備をすることが望まれている。

オートバイの死亡事故は、自動車をはじめとする他車との衝突事故が7割を越えており、純粋な単独事故で死亡した例は4分の1程度である。

衝突事故では衝突の衝撃でライダーが前方へ投げ出されるため、ライダー自身が更に障害物へ衝突することが多く、死亡の原因として頭部の損傷が5割以上、次に3割以上が胸部・腹部等の前面部位の損傷となっている。ヘルメット装着の義務化によって頭部は比較的守られるようになったが、俄然胸部・腹部へ衝撃を受けることが多く、胸部・腹部の防護が課題となっている。

勿論死亡事故だけでなく、背部への衝撃による脊髄の損傷などもあり、メーカーの広報やオートバイ雑誌でも首パッドのネック・ブレース・システム、脊椎パッド等のプロテクタやヒットエアーのようにエアバッグ機能付きのジャケット等の装備が勧められるようになってきた。

法的に義務付けられている装備

  • 乗車用ヘルメット

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教習所等で推奨する最低限の装備

Template:右 教習所では一般道路走行中ほどに速度を出さない一方、不慣れな車体にまたがることによる転倒、不用意な足付きによる停車中車両の横倒しなどで怪我をしないよう、全身を覆う衣服と、手足を守る装備、そして最重要器官である頭部を守る装備が必須と成る。これは季節の別なく教習所の決まりで着用が義務付けられており、教材の一部として教習料金に含められ支給されたり各自で揃える必要がある。その装備を忘れたりすると、教習を受けることを拒否される。

  • フルフェイス型またはジェット型の乗車用ヘルメット
  • 長袖長ズボン
  • グローブ(手の平をガードする物とナックルプロテクターが付いている物を推奨する、指先が剥き出しのグローブは推奨できない)
  • 足首までの長さのブーツまたはライディングシューズ(臑を守るためブーツを推奨する。プロテクターと組み合わせると良い、踝を守る所がある物を選ぶと良い)

死亡や後遺障害を防止する観点から追加が望ましい装備

  • 耐摩耗性等、強度の高い新素材ないし皮革製のスーツあるいはジャケット、パンツ
    視認性の高い、目立つ色であるか、または反射材を備えるもの。厚手の生地と太い糸で縫い合わされているジーンズは見た目こそ丈夫に見えるが普段着として供される物は容易に破れて怪我をする。ライディングギア用として供されている物はケブラー繊維を織り込む等して強化されている。なお専用のスーツやジャケットは乗車姿勢で最適化されており、普段着としては動きを制限する場合もあるものの、長時間での乗車姿勢での身体的負担を軽減するように設計されている。
  • 胸部、腹部、肩、肘、腕、膝、腰、臑、首、脊椎などを保護する各種プロテクター類
    衝撃緩衝材を備えていると、脊髄損傷内臓破裂骨折脱臼等の危険性を低減する。ウェア自体に装備される場合もあり、レーサータイプではこれを外付けとして強調するものもあるが、一方で内蔵して外見的には目立たないが、要所がプロテクターで覆われている製品もある。これらのウェア内蔵プロテクターでは、体のラインにあわせ立体的になっているほか、洗濯のために取り外せるようにもなっている。
  • 虫やゴミ・砂礫の飛び込みを防ぐため、ジェット型ヘルメットにはゴーグル、バイザー、シールド等を併用するとよい。
  • ツーリング等で夜間の走行が予想される場合やトンネルの多い区間では、透過率の低いスモークシールドなどの使用を控える。特に日中のトンネル通過時には照明が十分でないと、突然視界が奪われることもある。ゴーグルや、バイザーは細かい傷が付きやすく、これによって雨天時や夜間光を乱反射し視界を妨げる危険性がある。従って傷が付かない材質のものを選ぶか傷防止のコーティングがされているものを選ぶか、ゴーグル・バイザー専用クリーナーなどの手入れを行う。また細かい傷は粉塵の衝突などでどうしても避けられないため、ある程度使用したら新品に取り替える消耗品と考えたほうが良く、ヘルメットによっては交換部品としてそれら透明部品が別売されている。走行中に水滴や汚れなどで視界を妨げられるため、駐停車が困難な状況においては、ワイパー機能付きの雨天用グローブなど一時的ではあるが視界確保を助ける用品もある。

雨具

  • 屋根のないオートバイを走らせる場合、雨具は必需品と言える。高速走行時には、雨滴が体に痛く感じるほど衝突するため、高い防水性=高い耐水圧が要求される。ばたつき防止、隙間の少なさから、ポンチョよりも雨合羽上下が望ましい。オートバイ用と銘打った雨合羽や、ウェア自体に透湿・防水機能を備えた全天候型ライディングウェアもある。グローブ、ブーツにも雨天用のカバーの他、全天候型の製品がある。但し、いずれを着用しても完全に体が濡れなくなるという事は難しく、首筋、袖口などから少なからず水が浸入する。ずぶぬれになって注意力を失い事故を起こすことのないよう、適切な雨具を備えたい。
  • 雨天走行時、あるいは冬季の走行時には防寒に注意を払うべきである。走行風に常にさらされているので、体温を奪われやすく、体温の低下は集中力の低下、運動機能の低下、また著しい場合には低体温症によって代謝機能が低下して非常に危険な状態になる。このような場合にはライディングウエアの下に適切なインナーウエアを装着する事が望ましい。
  • 比較的価格の安いスキー・スノボウェアをオートバイ用防寒具・雨具とする向きもあるが、運転中はスキー・スノボのような運動をしているわけではないため保温性能が足りないし、撥水性能程度ではオートバイの雨中走行に求められる防水性能に足りないことを留意すべき。

反射材

前述(雨具以前)の装備強化が事故の際のライダーの身体損傷軽減対策であったのに対し、こちらは事故に遭遇する確率そのものを下げる対策。オートバイは他者からの視認性が悪く、夜になると更に悪化する。そのため、自分の体に反射材を付けることが推奨されている。

ライディングウェアに取り付けられている製品もあり、肩や背中・ヘルメット後頭部など、車体の反射材よりも確実に高くなる位置にあるため、より視認性の向上が期待できる。ブーツにも取り付けられた製品もある。

ライダーの高年齢化

以前の日本では、オートバイは若者の乗り物(場合によっては経済力のない若者が四輪車までの繋ぎに乗る乗り物)という見方があった。ところが、このところライダーの年齢層が上昇し、中高年ライダーが増加している(2005年での平均年齢は42.7歳、自工会調べ)。ちょうど、1980年代のオートバイブームの時代に20歳前後だった層が現在ライダーの主力となっていることになる。中年を迎え、ある程度経済的な余裕がでてきたこの年代層が、一旦降りていたオートバイに乗り直したり(リターンライダー)、昔の夢を実現しようと新たに乗り始めたり(遅咲きライダー)したためと思われる。大型二輪免許が取得しやすくなったことも中高年ライダーの増加に拍車をかけた。また任意保険の保険料で運転者年齢が30歳以上の場合大幅に安くなる事も要因の一つとして上げられる。モーターサイクルジャーナリストの小林ゆきは、ライダーの高年齢化に伴いメーカのラインナップにも変化がみられていくだろうとしている。城繁幸のように、シニアをターゲットとした贅沢品の代表として大型オートバイを挙げる論者もいる。

その他

リサイクル

二輪車は使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の対象外であるが、日本の大手4社が自主的な取り組みとして、2004年10月1日から二輪車のリサイクルを行っている。

排ガス規制

日本では過去二輪車は、自動車排出ガス規制の対象外であったが、1998年(原付一種・軽二輪)/1999年(原付二種・小型二輪)の新型車から平成10年度排出ガス規制の対象とされ、2008年9月には平成18年度排出ガス規制により輸入車も含む全車両において数値の強化が行われる。国土交通省によれば「世界で最も厳しいレベル」という。

結果として四輪車と同様に、小排気量車で多く使われていた2ストエンジンの生産が中止され、吸気系統のキャブレターから電子制御式燃料噴射装置への装着移行による車両価格の高騰といった現象が起きている。

騒音規制

日本における二輪の自動車騒音規制は何度か数値が変更されているが、現在適用されているものは平成10年度(原付一種・軽二輪)および平成13年度(原付二種・小型二輪)騒音規制によるものである。この騒音規制による数値は他国にない世界一厳しいものであり、この規制により国内メーカー車の国内販売すら妨げられ、日本国外においてのみにしか販売されない状況に置かれている車両が多い。

具体的には試験方法の違いから一概に比較する事は出来ないが加速騒音規制を欧州と比較すると、原付一種で4デシベル、自動二輪で4~7デシベル厳しく、国内における乗用車の加速騒音規制値と比べても3デシベル厳しくなっている。また国内の排気騒音/近接排気騒音においても乗用車と比べ2デシベル厳しい。

この騒音規制は輸入車および改造車は一部規制値が適用除外となっているため、改造マフラーなどによる騒音問題の観点から、これらの車両にも新車同様の規制値を全面適用する動きがあったが、輸入車種の減少を懸念したライダー及び二輪業界から反論があったため、2010年4月1日より輸入車と改造車の規制値は欧州基準が準用され、また本体の分解改造が可能なマフラーの新規装着が不可となる形で決着した。

なお日本メーカーの国内向け新型車両については現行規制が継続される。

駐車場問題

日本では、従来原動機付自転車以外<ref>原動機付自転車だけは、自転車法によって自転車と共に駐車場所(駐輪場)の整備が、早い時期から義務づけられていた。</ref>のオートバイ用の駐車場は、駐車場法といった法律や条例でその整備が義務づけられていなかった。そのために、(特に土地面積に余裕の少ない都市部では)実質的にオートバイ用駐車場はほとんど無いという状況であった。そこでオートバイ用駐車場がないからと四輪車(自動車)用の駐車場や自転車および原動機付自転車用の駐輪場を利用しようとしても、法律で対象外とされていることを理由に管理者等に断られる場合も多かった。またオートバイは路肩歩道上などに駐車しても四輪車に比べて占有面積も少なく迷惑となりにくいこともあって、周囲に多大な迷惑を掛ける駐車方法でもない限りオートバイは駐車違反の取締りから実質的に除外されることが多かった。こうした法律上の不備によるオートバイ用駐車場の深刻な不足と、それに起因するオートバイの駐車違反に対する慣例的な対応(お目こぼし)という状況が、駐車場法制定の1957年から数えると50年近くも続いてきた。つまり、オートバイの駐車場問題そのものは以前から存在していたのだが、従来は問題であるとすら社会的に認識されていなかった感がある。<ref>都市交通における二輪車の役割に関する研究 | JAMAGAZINE 2005年6月号問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題 | JAMAGAZINE 2006年7月号内「社会から今までまともに扱われなかったバイクの存在」、問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題(2) | JAMAGAZINE 2006年7月号内「法の狭間に落ち込んでいた自動二輪の駐車問題」</ref>

ところが、2002年交通バリアフリー法施行後から、特に歩道上に駐車されたオートバイに対する駐車違反取締り実施が徐々に目立つようになり<ref>問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題(2) | JAMAGAZINE 2006年7月号内「やがて交通バリアフリー法に行き当たる」</ref>、その後2006年6月1日より改正道路交通法が施行されると駐車違反の取締り方法が変更され、オートバイ用駐車場の深刻な不足が改めて顕在化した。駐車違反取締りの一部業務の民間業者への委託が始まり、それと同時にオートバイの駐車違反も四輪車と同様に厳しく取締るようになったからである。このオートバイ用駐車場の深刻な不足は道路交通法改正にあたっても指摘されており<ref>国会質問会議録 2004.04.08 道路交通法改正案への質疑 - 民主党 松井孝治 公式HP</ref>、対応策として駐車場法の改正もやや遅れながら(2006年5月31日公布、同年11月30日施行)行なわれ、それまで対象外だったオートバイも駐車場法による駐車場整備の対象となることとなった。しかし、この改正駐車場法はあくまで施行後に計画あるいは建築された施設等が対象であるために、オートバイにとっては駐車違反取締りはすぐに厳しくなるが駐車場はすぐには増加しないことに変わりはなく、以前からのオートバイ用駐車場の深刻な不足もあって<ref>2005年に実施された日本二輪車協会(NMCA)の調査によると、民間駐車場の8割(78.6%)がオートバイの駐車は"お断り"で、オートバイ専用駐車枠を設けている民間駐車場は500件中28件(5.6%)だという(二輪車駐車環境の向上をめざして(調査報告書))。また、東京都道路整備保全公社の2006年時点での調査によれば、東京都心22区におけるオートバイの駐車実態が1万3000台に対して、その駐車供給量は約1000台分しかなかったという(早急に考えられるべき、附置義務駐車場の増加 | JAMAGAZINE 2006年7月号)。</ref>、都市部など地域や場所によっては「駐車違反で取り締まられたくなければオートバイに乗らないようにするしかない」という状況が発生するようになった。

首都圏では、2006年の道路交通法改正以降オートバイの駐車違反取締りが急激に増加している。警視庁や警察庁の情報公開によると、東京都内のオートバイ駐車違反取締り件数は1998年に3875件だったのが2002年に1万3918件と初めて1万件を超え、その後も徐々に増加していたが、2006年に道路交通法が改正されると途端に10万件を突破、2007年には26万6806件となっている。これはオートバイだけで比べても、1998年からの10年間で68倍に増加、道路交通法改正直前の2005年と比較しても5倍に増加したことになる<ref>10年で68倍 東京都の二輪車駐車違反 | Response.Web魚拓)</ref>こうした傾向は全国的にも同様であり、改正道路交通法施行前の2005年には全国でのオートバイ駐車違反取締り件数が約11万件だったのが、2006年には改正道路交通法施行後のの半年(6月から12月まで)だけで約23万4千件、翌2007年には1年間で約52万1千件と、やはり急激に増加している。<ref>asahi.com:二輪の駐車違反急増、過去最多 規制強化と駐輪場不足 -関西Web魚拓)、二輪の駐車違反、過去最高52万1千台 駐輪場不足響くWeb魚拓)</ref>なお、道路交通法改正後の駐車違反取締り件数の増加は四輪車を含めた全体でも起きているが、2007年中の全国駐車違反取締り件数が四輪車とオートバイをあわせて300万4383件で前年比105万595件(53.8%)増加であること<ref>平成19年中の交通死亡事故の特徴及び 道路交通法違反取締り状況について - 警察庁</ref>を考慮すると、オートバイだけでの増加率は異常に高いといえる。また、オートバイの駐車違反取締り件数増加が著しい首都圏では2006年以降はオートバイの新車販売数が減少している<ref name="oaspa-nirin">二輪界 第70回「二輪駐車違反取締り不況の問題点」 - 自動車整備情報{抜粋}Web魚拓)</ref> という情報もあることから、オートバイの利用台数が増加したりしたせいで駐車違反取締り件数が増加した訳ではないこともうかがわれる。

これまで述べてきたような、オートバイ用駐車場の深刻な不足やそれに起因する駐車違反取締り件数の増加という状況は、2009年5月現在もあまり改善されないまま継続中である。特に、状況が深刻な首都圏などの都市部ほどオートバイ用駐車場として利用可能な土地面積が限られていることもあり、今後も改善は急速には進まない可能性が高い。警察や自治体などでも具体的な打開策を見出せていないところが多く、仙台市浜松市といった一部の自治体以外では<ref>仙台市は市内に4000台以上のオートバイ用駐車場を備えており、浜松市は浜松駅周辺に無料のオートバイ用駐車場を多数用意しているが、これらはあくまで少数派あるいは例外的事例である(バイク駐車場問題、あなたはどこまで知っていますか? (3) | NMCA日本二輪車協会内「全国の地方自治体の取り組み」)。</ref>、多くの地域でオートバイ用駐車場の深刻な不足という状況が続いている。また前述の通り、首都圏ではオートバイの販売数が減少するといった影響も発生しており<ref name="oaspa-nirin" />、この問題がオートバイ業界の不況にも繋がりかねないと懸念する意見も出てきている。

日本国外の事例

欧州(ヨーロッパ)各国では、乗員1人あたりの道路占有面積が小さく特に短距離の移動に適するといったオートバイの合理性や利便性に対する認識が比較的高く、それらを活かして都市部での道路交通渋滞や駐車場不足を軽減するために、都市や道路の整備計画にてオートバイ用駐車場整備を考慮し、むしろ日本とは逆にオートバイの利用促進を図っている事例も多い。そのために欧州の都市部では、道路脇などにオートバイ専用の駐車場所が設けられていることもしばしばである<ref>欧州各都市に見られる二輪車駐車事情 | JAMAGAZINE 2006年7月号</ref>。

参考文献

脚注

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関連項目

外部リンク

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