オフィスコンピュータ

出典: Wikipedio


オフィスコンピュータ(略称:オフコン)は、主に中小企業等での事務処理を行うために設計された、比較的小型のコンピュータ。主に日本のみで使われる呼称で、海外ではミニコンワークステーションミッドレンジコンピュータなどと呼ばれるコンピュータの一形態である。

従来は各社独自仕様ハードウェアオペレーティングシステムなどのソフトウェアにより構成されていたが、各社は1990年代以降はUNIXサーバやPCサーバで利用されるハードウェアに、オフコン用のOSを移植したものが増えている。例えば富士通PRIMERGY 6000NECExpress5800/600、三菱電機のEntrance/CENTRAGEはx86系のCPUを搭載したPCサーバに独自OSを稼働させている。

オフコンと呼ばれるコンピュータには、現在のサーバに相当するS3100などのコンピュータから、クライアントワークステーションに相当するFACOM K-10N5200などのコンピュータまで存在する。

目次

概要

オフィスコンピュータはミニコンピュータとほぼ同クラスの機器であるが、ミニコンピュータが主に科学技術計算(浮動小数点演算通信制御用、研究所や教育機関など)に利用されるのに対し、事務処理用(商用計算、10進数演算、帳票処理など)を想定した設計になっている。海外ではメインフレームなど大型機を持つメーカーを中心に、「スモール ビジネス コンピュータ」(Small Business Computer)、「ミッドレンジコンピュータ」(Midrange Computer)とも呼ばれる。

ミニコンピュータ同様にコンピュータ端末から操作される種類のコンピュータで、端末には高度な処理能力を必要とせず、文章や図表・印刷の体裁に至る機能までもを内部で処理して、端末の画面やプリンターへと出力する。特にオフィスコンピュータでは、伝票類の印刷や業務収支計算などのプログラムが用意されている。

日本では、1970年代後半から1990年代にかけて、中小企業の財務会計給与計算、販売管理といった、全社的な業務処理システムや、大手企業の支社や支店、部門ごとの処理システムの構築用に、多く導入された。

運用形態

現在の業務サーバに近い形で使用され、コンピュータネットワークを介して接続された端末からデータを入力したり、必要なデータを呼び出したりする。また入力装置は端末コンピュータに限らず、磁気カードリーダーやバーコードスキャナー、更にはキャッシュレジスターといった現在のPOSレジスターや、様々な計測機器の類いもネットワーク上に接続されて運用され、その中にはプリンターや、必要なら遠隔地のコンピュータや端末と接続するモデムなども含まれる。

外部から独立したネットワーク上で動作するこれらのシステムは、基本的に外部ネットワークとの接続を前提としていない。このため、専用の入力端末に専用のオペレーターが付くという形態で使用され、複数の端末と通信してデータのやり取りを行う。

構造・設計思想

設計としては、基本的にクローズドアーキテクチャ(専用設計=専用OSであることが多い)であり、専用の業務処理プログラム(多くは既製品パッケージソフトウェアをカスタマイズしたもの)を稼動させることを目的としている。すなわち、ある業務を行うための専用アプリケーションが動作する専用のコンピュータという構成のもので、ハードウェアとソフトウェアをセットにして納入され、その納入した業者が機器のメンテナンスからソフトウェア操作や運用方法をサポートする形態が多い。

このため、同機器が広く利用された時代に設立されたソフト会社には、これらオフィスコンピュータを構成・メンテナンスする業務が主であったため、「○○オフィスコンピュータ」という社名を使ったものが多い。

歴史

アメリカではトランジスタを使用したミニコンピュータからオフィスコンピュータにあたる Small Business Computer (SBC)が誕生したのに対して、日本では逆にオフィス向け小型コンピュータの方が先に進化した。このため、英語圏ではミニコンピュータにSBCが含まれるのに対して日本ではミニコンピュータとオフィスコンピュータが別のものとして存在することになった。

1959年、会計用機械を輸入販売していた日本事務機が電子会計機の国産化を日本電気に依頼した。日本電気は既に実績のあるパラメトロンを使用した NEAC 1201 を開発し、1961年にリリースした。当時、日本事務機が唯一の販売代理店であった。これは好評をもって迎えられ、日本電気は1964年に後継機の NEAC 1210 をリリースすることとなる。

日本電気の独擅場であったオフィス用小型コンピュータの市場だが、1965年富士通FACOM 230/10を投入。これは日本語COBOLを利用できるトランジスタ式コンピュータであった。対する日本電気は1967年ICを全面採用した NEAC 1240 を発表。1968年には東芝(TOSBAC-1500)、三菱電機(MELCOM-81)、内田洋行(USAC-300)などが製品を投入し、オフィスコンピュータ市場は一気に活況を呈することとなった。

1970年代には、販売管理、財務管理、人事給与など本格的な事務処理機能を備えたオフィスコンピュータが登場するようになった。特に1974年の NEAC システム100 がオフコンの名を定着させた。

オフィスコンピュータはメインフレームのような海外からの技術導入とは直接関係なく進化していった。また、日本独自の商習慣や日本語を扱う点などがシステムそのものの設計にも影響し、海外からの進出が困難だった市場でもある。

現状

旧来の端末は、受け取った画面データを表示したり、入力信号をデータ通信するだけの機能しか持たない。その一方、Windows系のパーソナルコンピュータ(主としてPC/AT互換機)の処理能力や記憶容量が向上し、受け取った数値データを、必要な表に変換したり、接続されたプリンターやスキャナー等の接続機器からのデータを処理する能力も持ち合わせるようになった。このため、現在ではこれらのパソコンをLANネットワーク化することにより、かなりの業務処理が出来るようになった。

またこれらのオフィスコンピュータは、いわゆる2000年問題を抱える事も多く、1999年までに多くのオフィスコンピュータがシステムの刷新を求められた。その結果、高価なオフィスコンピュータ(と複数の専用端末)は、システムの乗り換えによって徐々に使われなくなって来ている。

しかしながら、オフィスコンピュータがクローズドアーキテクチャであったことから、長く蓄積された業務情報などの資産を全面的にWindows系OSなどへの環境に移行することはコスト的に困難である場合も多い。そのため、その過渡期的なものとして、オフィスコンピュータの端末としての機能をパソコン側の端末エミュレータに持たせる事で、双方の機能を共存させて連携・運用できるものもある。これらは、現在においても金融機関病院などの一部オフィスで利用されている。

代表的なオフィスコンピュータ

なお、日経BP社の日経ソリューションビジネス(2005/10/30号)の記事「基幹業務のプラットフォームは汎用機とオフコンが依然7割近く」によると、サーバの稼動台数ではPCサーバが73.9%(オフィスコンピュータは12.3%)と圧倒的だが、利用用途別シェアで基幹業務用途だと汎用機30.6%、オフィスコンピュータ36.2%となるとのこと。

関連項目

外部リンク

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