アリオン (漫画)

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アリオン』は、安彦良和の漫画作品、及びその主人公の名前である。プロメテウスをめぐる神話を下敷きにしている。1986年3月に、東宝劇場版アニメとして公開された。

目次

概要

アニメーター安彦良和にとって、初の本格的な漫画作品である。連載は徳間書店の漫画雑誌『リュウ』。初版は徳間書店<アニメージュコミックス全5巻>、現在は中公文庫コミック版(全4巻)で刊行。

連載開始当時、作者は『機動戦士ガンダム』劇場版にアニメーターとして携わっており、多忙を極めていた時期であった。そのため完結まで長期にわたる連載となった。作品舞台はギリシア神話の世界であり、神話に登場する神々や英雄たちの多くが登場する。しかしその設定はあえて独自に行ったものが多く、たとえ登場人物が同名であっても、神話自体とこの作品の間ではの多く違いがある。

あらすじ

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超人と言って良い力を持ち、幾多の地を支配するティタン神族は、かつてウラノスを王として戴いていた。しかしウラノスはその子クロノスによって殺され、クロノスはまたその息子であるゼウスによって殺害されてその地位を奪われる。ゼウスはクロノスを殺した事で地上の王位を手に入れはしたものの、一族の勇者であるプロメテウスによって成された「祖父や父と同様、あなたも自らの子供の手によって殺されるだろう」との予言に怯え、病的なまでに猜疑心に満ちた生活を送っていた。

そんな頃、とある辺境の地にデメテルと言う女性が住んでいた。彼女は、かつてゼウスの兄であり海上の王でもあるポセイドンとの間に子供を設けた事があり、今はその時の子供、アリオンと二人で穏やかな生活をしていた。ある日、ゼウスとポセイドンの兄であるハデスが彼女の元を尋ねて来た。それはアリオンを攫って刺客と成し、自らを陰鬱な冥府の王へと追いやった弟たちに復讐するためだった。

彼の手によって母の下から暗い冥界へと拉致され、暗殺者として鍛えられながら成長したアリオンは、しかし最初の命令であったゼウス殺しに失敗し追われる身となってしまう。逃走中にひょんな事から父親であるポセイドンの軍に加わり、次第にその運動能力によって頭角を表し始めたアリオンだったが、ポセイドンと敵対していたゼウスの子であるアテナアレスアポロンらの手によって、或いはハデスの呪いによって次第に追い詰められ、より過酷な運命の中へと誘われて行く。

しかし、獅子の面をかぶった正体不明の男(黒の獅子王)やヘラクレスリュカオーン王などに助けられ、また偶然出会った少女レスフィーナへの思いを糧に、次第に力強く成長していく。そしてその危難に満ちた旅の果てに、自らの出生の秘密を知る。

登場人物

※アニメ映画に登場したキャラクターは、キャストも併せて記載している。

アリオン 
声:中原茂(幼少時:小宮和枝
デメテルとポセイドンの子として育てられた少年で、本編の主人公。ティターン族の覇権争いに翻弄されながらも、自らの運命を切り開いていく。頭にはめているバンダナ状の金輪がトレードマーク。出生はアレイオーンがモデル。
レスフィーナ
声:高橋美紀
ゼウスの手によって言葉を封じられた少女。アテナの侍女として働いていたことから、捕らえられたアリオンと出会い、強く惹かれ合う。実はポセイドンとデメテルの子で、アリオンとは双子の兄妹であったことがわかり、そのため二人は想い悩む。出生はデスポイナがモデル。
デメテル
声:武藤礼子
かつては豊穣の女神と呼ばれた美しい女性で、アリオンの母。辺境の地で慎ましく暮していたところ、ハデスによって幼いアリオンを攫われる。かつてゼウスによって視力を奪われている。
セネカ
声:田中真弓
人間の子供。両親がなく盗みで生き延びて来た。アリオンと行動を共にする。名前のみローマ帝国時代の哲人セネカを元にしている。
ギド
声:西尾徳
冥府に住む三眼の巨人(ヘカトンケイル)。冥府を発ったアリオンに同行する。
ゼウス
声:大久保正信
ティターンの王。父クロノスを殺し王位を奪った過去から、いずれ自らも同じ運命をたどることを恐れている。
ハデス
声:大塚周夫
冥府の王。弟ゼウスの奸計により冥府へと追いやられていたため、アリオンを利用してゼウス暗殺を企てる。後に戦の様子を見に訪れた際、彼を自分とりまく絶望的な呪縛と見なすようになったアリオンに偶然遭遇し、殺害される。
ポセイドン
声:小林清志
ゼウスの兄で海界の覇者。豪放な人物。再会したアリオンを自らの軍に迎え入れてオリンポス軍と対決するが、ハデスの亡霊に操られたアリオンによって殺される。
アポロン
声:鈴置洋孝
ゼウスの長男。放蕩を装っているが、強力な超常の力でオリンポスの明日の覇権を狙っており、そのためにレスフィーナの封印された力を欲している。アリオンの真の宿敵。
アテナ
声:勝生真沙子
ゼウスの長女。女性ながらオリンポス軍の将を務める。兄アポロンの放蕩を揶揄しながらも惹かれている。
アレース
声:島田敏
アテナとアポロンの弟。アテナの副官。実力は今一つ。原作とアニメ版とで大きく印象が異なる。
ガイア
声:来宮良子
ティターンの地母神。子クロノスに夫ウラノスを、さらに孫ゼウスにクロノスを殺させた張本人。デメテルの作る秘薬で若さを保っていた。
黒の獅子王(プロメテウス)
声:田中秀幸
獅子の仮面に身を隠し、アリオンの危機を度々救う謎の人物。その正体は、かつてヘロット(原住民)と共にゼウスに反旗を翻して処刑されたはずの勇者プロメテウスであり、アリオンの実の父。アリオンにティターンの因業の歴史を語る。この物語のもう一人の主人公。
リュカオーン
声:永井一郎
ティターンに迫害された部族の王。人目を避け隠遁生活を送っていた。アリオンに真の敵がアポロンである事を教え、進むべき道を指し示す。
ヘラクレス
声:郷里大輔
力自慢の青年。リュカオーンの護衛役だったが、再びオリンポスに向かうアリオンに同行する。
エートス
声:宮内幸平
ヘロットの老人。妻(声:京田尚子)がおり妻帯者である。かつてプロメテウスの下でオリンポスに反旗を翻した一人であり、同志達と共にアリオンを補佐する。アニメ版ではプロメテウスの妻・パンドーラの父親に変更され、アリオンの実の祖父であったのだが、死に際にそれを明かそうとするも果たせなかった。
エリヌース
ゼウスに従う復讐の神々。ポセイドンを殺したアリオンを「父殺しの罪」でつけ狙う。

アニメ映画

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日本サンライズ制作、1986年3月15日公開。現在のところ、安彦が自ら作画を手掛けた最後のアニメ作品である。劇場版でのキャラクターデザインにあたり、監督の安彦は衣装デザイン(ガイアに至ってはキャラクター原案)を、ギリシア神話を作品モチーフに使うことが多く造詣が深い少女漫画家、山岸凉子に依頼している。そのため一部のキャラクターが原作と異なったイメージを醸し出している。

スタッフ
主題歌  
補足  

本作と同時期に封切られたアニメ映画『世紀末救世主伝説 北斗の拳』に、ユリアが公開処刑されようとするシーンでそれを見ている群集の中に本作の主人公・アリオンが登場している。

関連項目

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